大阪大学副学長の星野俊也氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(9月7日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。第2次安倍内閣の外交活動や国連をめぐる話題を取り上げたほか、ロシア情勢などについて語った。
国境線を力で変えようとする国連安保理常任理事国
中山 今回は、大阪大学副学長の星野俊也さんにお話を伺います。星野さんは大阪大学副学長であると同時に大学院国際公共政策研究科教授を務めておられますが、具体的にどんなことを学生に指導するのですか。
星野 大阪大学には理学部や工学部、医学部のほか、法学部や経済学部まで幅広い学科が設置されていますが、そうした文理にわたる分野を融合し、国際問題や環境問題などに関する議論を行っています。
例えば、ある環境技術が発展途上国の水の問題にどう役立つのかなど、学生たちが学部を横断して話し合い、新しい技術を現場の改革につなげる方法を考える。私は教授としてそれを促しています。
中山 今、世界のあらゆる地域で軍事的緊張が高まっていますが、国際秩序の観点から星野さんはこうした世界情勢をどう見ていますか。
星野 今の国際秩序というのは国連の目的・原則・組織・機能など基本的な事項を定めた「国連憲章」に基づいて成り立っています。
これはこれでとても重要ですが、同時に安保理の体制を変えていく必要があります。例えば国連加盟国が193カ国あるにもかかわらず、15カ国の安保理理事国だけが強い権限を持つのはおかしいですよね。
他方で、守らなければならない部分もある。例を挙げると、国境線を平和的議論ではなく力で一方的に変えようとするのは好ましくありません。
今、ウクライナや日本近海の東シナ海、南シナ海などで緊張が高まる中で、本来は国連の体制を守る側にある常任理事国が苛立ちを見せており、秩序を変えようという動きがあります。それによってさらに世界情勢が不安定化し、国家主権に対する挑戦が一部で起こっている。
イラクやシリアでは「イスラム国」という国家とは認められない過激派組織が勢力を拡大しています。現在の国境線に強い不満を持つ彼らは過激な政治運動を展開しており、あちこちで暴力的な対立が繰り返されているわけです。
国連創設70年の節目は安保理改革に格好の機会
中山 そんな中、バングラデシュを訪れている安倍(晋三)首相は、日本時間の6日夜にハシナ首相と会談し、ハシナ首相は来年行われる国連安全保障理事会(安保理)の非常任理事国の選挙への立候補を辞退して日本を支持する考えを伝え、安倍首相は感謝の意を示したと報じられています。