アベノミクスの効果と言うことになっているが、日本の人材市場が大きく変化し始めている。デフレ下で企業が人材を安く買い叩けた時代はあっと言う間に売り手市場に変わってしまった。
インターネットが就職戦線を変える時代の到来
こうした時代の到来を見越していたのか、ユニークな人材紹介サービスがいくつも登場している。
その1つが今回紹介するヴォーカーズである。ある企業に実際に勤めている人が自分の会社を評価するというサイトである。
企業は外から見るのと中から見るのとは大きく異なる場合がある。
長年企業取材を続けている記者ならば、その差を見せつけられることがたびたびあるが、一般の人たちにはそのチャンスはなかなかない。
今いる会社に合わず転職を考えている人にとっては、失敗を繰り返さないためにも転職先がどのような就業環境にあるのかはぜひ知りたいところ。
一方、外面は良くても社員を酷使するなどの企業には厳しい時代が到来したということだろう。経営者の質が本当に問われることになる。
インターネットというツールが日本の労働市場や企業の在り方を変える。
そう見るとなかなか面白い取り組みと言えそうだ。では実際にいま何が起きているのか。ヴォーカーズの増井愼二郎社長に聞いた。
情報の質にこだわり、地道にコツコツ改善を続けることが成長のカギに
川嶋 ヴォーカーズは、「社員による会社評価」を掲げています。就職や転職のためのクチコミ情報収集サイトということですが、実際にその会社にいる人が評価するのですか。
ヴォーカーズ役社長。立命館大学卒業。パソナで新規事業開発に従事した後、インターロジックス(現・電通イーマーケティングワン)でCRMの戦略立案から情報設計等を行う。2002年、アンテロープキャリアコンサルティングを設立、取締役を務める。2007年ヴォーカーズ設立(写真提供:ヴォーカーズ、以下同)
増井 企業評価リポートを書き込んでくれるのは、その会社に勤める現職と、離職した人の両方ですが、離職した人が53%なので若干多いぐらいです。辞めた人の方が厳しい評価をつけるかというと、そうでもありません。
うちのサイトを訪問する人は、ほとんどがSEO経由です。
もちろん就職・転職を考えている人がリサーチのために利用するのですが、例えば仕事上、取引先の会社について調べようとしたときにヴォーカーズが検索の上位に表示されていると、興味を持ったり自分で書いてみようという気になるケースもあるでしょう。
今では新規ユーザーの登録数は1日に1000人を超えるまでになりました。そして、これまでに蓄積されたユーザーの声は58万件以上になっています。