最近よく耳にする「コンシェルジュ」という言葉。元々はホテルでお客様からの様々な要望に応えるスタッフの職務を指していました。最近ではそこから派生して「お客様のご要望に柔軟にお応えします」というサービスコンセプトの代名詞になっています。
例えば、「○○コンシェルジュ」というサービスメニューを設けたり、接客スタッフの姿勢として掲げたり、相談窓口や総合案内所の別名として「コンシェルジュ」と表記したりするといった具合です。
コンシェルジュが会社の顔としてお客様に気の利いたサービスを提供することで、CSを高めたり、受注を獲得したり、リピーターを増やそうという活動が加速しています。
コンシェルジェは企業にとって貴重な顧客接点となります。しかし一方で、コンシェルジュがお客様に喜んでいただくための努力は、各自のセンスや経験に頼り、現場任せになってしまっている企業が多いようです。
そこで今回は、コンシェルジュサービスで営業強化を実現するためにはどんな努力をすべきなのかを、サービスサイエンスの視点で探ってみたいと思います。
いかにお客様の例外要求に応えられるか
サービスサイエンスでは、目に見えない「サービス」を分類・分解・モデル化することで、その本質や努力のポイントを炙り出します。今回は、サービスを「分類」することで、コンシェルジュサービスの努力すべきポイントを見出してみたいと思います。
まず、サービスを2つの切り口で分類してみましょう。
ここではサービスの分類軸として、「手順型サービス」か「気づき型サービス」か、「ロースキルサービス」か「ハイスキルサービス」か、という2つの軸で分類してみます。
「手順型×ロースキルサービス」タイプとしては、配送サービスや清掃サービスが該当します。これらのサービスでの努力のポイントは何でしょうか。清掃サービスでは、清掃の抜け漏れがあれば、すぐにクレームが寄せられます。この手のサービスでは、抜け・漏れのないサービスや、スタッフによるバラつきの少ないサービスを提供する必要があるのです。そこで、均質でミスのないサービスを組織的に提供できるようにするための「マニュアル化や手順化、チェックリスト化」が有効となります。
サービスを分類すると、努力すべきポイントが見えてくる。