和歌山県太地町で行われている「イルカ追い込み漁」を批判的に描いた米国のドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」(The Cove)の日本上映を巡り議論を呼んだ。

1. イルカ追い込み漁

米映画『ザ・コーヴ』、都内で上映とシンポジウム 600人が鑑賞

製作者のリチャード・オーバリー氏〔AFPBB News

 「イルカ追い込み漁」(dolphin drive fishing)とは捕鯨の手法の1つで、クジラを対象とした追い込み漁である。

 いわゆるイルカと呼ばれるような小型の歯クジラに対して主に使われ、ボートと魚網で大海に至る抜け道を塞ぎ、入り江や浜辺に追い込んで捕獲する漁法である。

 ちなみにコーヴ(cove)とは入り江の意。

2. 手詰まりの対北朝鮮戦略―手を焼く米国・中国

  米国と中国はこれまで、それぞれの国益・戦略に従い、個別に北朝鮮の核開発という「牙」を抜こうと手を替え品を替えて努力したが失敗し、今日に至っている。

 最近では金正日の健康問題が懸念され、同時且つ必然的に後継問題が緊急・重要課題として浮上し、北朝鮮が不安定化する傾向にある。さらに金正日の認知症まで取り沙汰される中、休戦協定後最大の挑発――韓国海軍哨戒艇「天安」の撃沈事件まで引き起こした。

 中国は苦々しく思いつつも、金正日の暴走を止められない。現状では、急速に経済発展――ひいてはこの恩恵で軍備増強――する中国は、経済発展にとって不可欠な極東の平和と安定を北朝鮮から常に揺さぶられるリスクを抱えている。

 世界の警察官を自任する米国も、北朝鮮の核開発阻止に有効な処方箋を持つことができない。バラク・オバマ大統領はリップサービスないしはソフトパワーの域を出ない「核廃絶」をアピールし日本や韓国を宥めているが、徐々にこの手は通用しなくなるだろう。