冨山 まず簿記会計を勉強しろということですね。そして、経営管理のいろいろな手法を徹底的に学ぶ。人任せにしないで自分で分析をすることです。

世界ではなく地元でいちばんを目指せ

──これから地方で人口がどんどん減っていく中で、一部の優良企業への集約が起きても、地方全体としての経済の拡大は見込めないのではありませんか。つまり、地域外からお金を引っ張ってくる仕組みが必要なのでは。

冨山 そんなことはありません。生産性が上がって賃金が上がれば、1人当たりの消費が増えます。地域内でどんどん自己循環して経済は活性化します。アメリカを見てください。この20年でアメリカの経済を伸ばしたのは輸出産業じゃなくて内需ですよ。

──地方のサービス業が世界を目指す必要はないとも書かれていますね。

冨山 全然ない。だって、地方の旅館が世界一を目指す必要はありませんよね。フランスやイタリアのホテルと競合しているわけじゃないんだから。その地域でオンリーワン、ナンバーワンであればいい。

 地方のサービス業は、地元でいちばんを目指す方が現実的です。サッカーがそこそこうまい子がいきなりワールドカップに出ようと思ってもナンセンス。まずは地元で優勝しろよという話です。ローカル経済圏のビジネスは、そのレベルで十分に黒字になります。

 日本の雇用の80%はグローバル経済圏とは無縁なんです。ローカル経済圏で、小売り、卸しとか物流、介護、公共交通機関などのサービス業に携わって働いているわけです。この8割の世界の低生産性にメスを入れずに「世界を相手に頑張りましょう」というのは順番が逆ですよ。

──まずは、足元を見つめろということですね。

冨山 自分が活動している経済圏の実体をよく見つめるところからスタートすべきです。ちゃんと足元を見つめて、コツコツと真面目に効率を上げて、生産性を上げて、賃金を上げる。これが絶対的な基本です。それができてから、全国を相手に商売しようとか、世界に出ていこうとか考えればいいんです。

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