マット安川 ゲストに浅川博忠さんを迎えて上半期の政界を振り返るとともに、噂される内閣改造や今後の展望をお聞きしました。

「ダブル1強」時代で安倍首相は独走。野党は分裂でますます弱体化

「マット安川のずばり勝負」ゲスト:浅川博忠/前田せいめい撮影浅川 博忠(あさかわ・ひろただ)氏
政治評論家としてテレビ・ラジオ、週刊誌などで政治解説、コメンテーターを務める。『小沢一郎 独走す』(東洋経済新報社)、『政権交代狂騒曲』(講談社文庫)など、著書多数。近著に『小選挙区制は日本を滅ぼす』(講談社)(撮影:前田せいめい、以下同)

浅川 私は「ダブル1強」と言っていますが、いまは自民党が政党間で突出して強く、その自民党の中で安倍(晋三)総理がこれまた突出して強い。そういうダブル1強時代で、この8月まで安倍さんは非常に強い立場、独走体制でした。

 一方、野党は、日本維新の会は橋下(徹)系と石原(慎太郎)系が別れ、みんなの党は渡辺(喜美)系と江田(憲司)系が別れた。野党第一党の民主党も、海江田(万里、代表)降ろしの動きが出ている。ということで、野党は政府与党に向かい合うのではなく、足元で内部分裂などが起きてますます弱くなっています。

 維新系と民主系の2つが合流することはまずありません。一番早くて来年の地方統一選までに、両陣営が選挙協力体制をつくれるか。それができなければ自民党を利することになる。ただ、氏素性が違うという感じで、民主と維新が一緒になることはなく、大同団結の野党再編は起こり得ないでしょう。

 小沢(一郎)さんの生活の党は、たった9人の小さな政党になってしまいました。小沢さんはこれまで数の力をバックにのし上がってきたわけですが、9人では誰も相手にしてくれない。本人としてはこのまま終わってたまるかという気持ちがあるにせよ、客観情勢から見て無理。72歳という年齢面、活動経費の面、数も9人と小さく、過去の人になりつつある。実質終わりですね。

「大臣待ち」議員への対応で9月に内閣改造。女性閣僚が多数誕生か

 ダブル1強時代にもかかわらず、内閣改造の話が出ているのには2つ要素があります。1つは、党三役、大臣は普通1年任期ですが、いまは1年8カ月やっていて、要するに長すぎるということです。2つ目は、自民党が3年3カ月、民主党政権時代に野党だったので、その間に本来なら大臣になれるような人がずっと待ちぼうけをくっていたこと。

 例えば、衆議院議員だと当選5回生以上が43人、参議院議員で16人、合わせて59人待っている人がいる。待合室が非常に混んでいるということで、安倍さんはこの9月の第1週、おそらく9月3日が大安吉日なので、その日に改造人事があると思います。