宮崎 正弘(みやざき・まさひろ)氏
評論家、作家。国際政治・経済の舞台裏を解析する論評やルポルタージュを執筆。中国ウォッチャーとしての著作の他、三島由紀夫を論じた著書もある。近著に『オレ様国家 中国の常識』『2012年、中国の真実』『中国が世界経済を破綻させる』など。メールマガジン『宮崎正弘の国際ニュース・早読み』を発行。(写真提供:オフィスヤスカワ、以下同)

マット安川 今回のゲスト・宮崎正弘さん曰く、「さようなら中国、こんにちは東アジア」。現在のアジア情勢や現地取材のレポートをお聞きしました。

中国の反腐敗運動に対する不満爆発

宮崎 中国・習近平国家主席の反腐敗運動は本気です。4人組と呼ばれる人が失脚しました。

 大連市長から成り上がって重慶市の書記になった薄熙来氏、その仲間の石油派のボス・周永康氏、団派で胡錦濤前国家主席の右腕と言われた令計画氏、江沢民派の軍トップの徐才厚氏です。徐さんは先日亡くなりましたが。

 ただ、習近平氏は「トラもハエもたたく」と言っていますが、まだ中トラまでで、大トラは温存されたままです。大トラとは江沢民元国家主席、曾慶紅元国家副主席、李鵬元首相で、こういう大物をどこまで追い込めるかが問題です。

 庶民はどんどんやれと言っていますが、共産党の組織としてはこれ以上やるとガタガタになる。いまでさえ不満が広がっています。軍も不満で爆発しそうです。米国の中国ウォッチャーは最近、軍のクーデターが起きる恐れがあると指摘しています。

 米メディアでもそういう報道が出てきている。それくらい国家機構や軍の中で、反腐敗キャンペーンのやり過ぎに対する巨大な反作用が出始めている。こういう点を見逃してはいけないと思います。