本記事は7月3日付フィスコ企業調査レポート(極洋)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 
寺島 昇
本資料のご利用については、必ず記事末の重要事項(ディスクレーマー)をお読みください。当該情報に基づく損害について株式会社日本ビジネスプレスは一切の責任を負いません。

長年培ったバリューチェーンに強み、次の中計に注目へ

 極洋<1301>(以下、同社)は、昭和12年(1937年)に設立された水産会社である。米国や東南アジアなどにも拠点を有しており、現在では水産商事、冷凍食品、常温食品、物流サービス、鰹・鮪の5部門で事業を展開している。強みは水産会社として永年培ってきた原料の調達から加工までの一貫したバリューチェーン、水産食品のプロフェッショナルとしての力にある。

 2014年3月期は売上高202,387百万円(前期比13.7%増)、営業利益2,915百万円(同25.4%増)、経常利益2,985百万円(同32.0%増)、当期純利益2,968百万円(同133.8%増)となった。年間を通じて堅調に推移した水産物市況を背景に、主力の水産商事部門が増収・増益となったことが全体の収益回復につながった。

 2015年3月期は売上高205,000百万円(前期比1.3%増)、営業利益3,700百万円(同26.9%増)、経常利益3,700百万円(同23.9%増)、当期純利益2,300百万円(同22.5%減)が予想されている。水産物市況にもよるが、現在掲げている施策を実行していけば達成は可能だろう。

 会社では現在、次の中期経営計画を策定中だが、この中では「既存分野の拡大」に加えて「新分野の拡大」を主命題とするようだ。数値目標はどの辺りに設定するか不明であるが、今後の同社の変化を見るためにも次の中計に注目しておきたい。

Check Point

●水産に関連した5部門で事業展開、水産商事部門の比率が高い
●15/3期は積極的な設備投資を予定しながら営業増益を見込む
●新中計では既存分野の拡大に加えて新分野の拡大へ

会社概要

捕鯨から開始し、水産物の加工・買い付け・製造・販売へと事業を拡大

(1)会社沿革

 同社は、昭和12年(1937年)に設立された。その後、昭和46年(1971年)に社名を極洋に変更し、事業内容を水産食品の買い付け、製造、販売事業へ拡大していった。平成8年(1996年)には、水産物の買い付けを目的に、米国にKyokuyo America Corporationを設立した。

 現在では5部門(水産商事、冷凍食品、常温食品、物流サービス、鰹・鮪)を中心に事業を展開している。