兵庫県の野々村竜太郎県議が辞職した。野々村氏は政務活動費の使途が大問題になり、号泣場面が何十回とテレビで放映された。みっともないと言う他ない。

 テレビなどでは、「城崎や佐用に何をしに行ったのでしょう」などというピンボケの報道ばかりがなされていた。フジテレビの「とくダネ!」のMCである笠井信輔氏などは、「本当は純粋な人なんでしょうね」などと、聞いていて椅子から転げ落ちそうになるような批評をしていた。嘘八百の報告書を提出し、公金を詐取していたと見られても仕方がない輩のどこが純粋なのか。テレビの無責任さを象徴するような発言であった。

テレビにとってはおいしい映像ネタ

 大体、議員になってから3年間で345回の日帰り出張、2013年度は1年間で195回の日帰り出張、使った公金は3年間で約780万円、2013年だけで約300万円だ。しかも2013年度で言えば、出張先は東京、福岡、城崎、佐用の4カ所のみだ。

 一目見ただけで、議会の開かれていない日に適当に出張先を挿入し、交通費を請求したということが一目瞭然だ。佐用、城崎、佐用、城崎、1日おきに行き先を変えただけだ。こんな出張があるはずがない。そもそも何のために出張したのかさえ、まったく明らかにしていないのだ。

 記者に質問されて、「相手との関係で明かさないことになっているので、言えません」というようなことを言っていたが、権力の不正・腐敗の追及をしていたわけではなかろう。少子化や高齢化社会の問題なら、秘密にする必要などまったくない。そのうえ領収書は一切添付されていないのだ。カラ出張で交通費を詐取したと思われても仕方がない条件がすべてそろっている。

 1年間の切手代約176万円についても同様だ。これを本当に郵便物に使ったとするなら、手紙とハガキを半々とした場合、手紙が約1万数百通、ハガキが約1万7000通、合わせて2万8000通ほどになる。事務員もいないこの県議にとって、到底不可能な数だ。私も衆議院候補や参議院候補をしたが、こんなに出す相手がそもそもいない。だとすれば何に使ったのか。後で現金化したと見るのがごく普通の見方だ。