2014年7月8日、サムスン電子は2014年4~6月期の決算見通しを発表した。営業利益は7兆2000億ウォン(1円=10ウォン)で、前年同期で24.45%減の大幅減益になった。ここ数年快進撃を続けてきたスマートフォン市場の急成長が止まったことが響いた。
アーニングショック
「アーニングショック(衝撃的な業績)」。この日の発表内容を証券市場はこう表現する。
「4~6月期の決算は相当厳しそうだ」。6月末以降、サムスングループ関係者の間では、この話題で持ち切りだった。証券市場でも6月以降、サムスン電子の業績が悪化するとの見方が主流になり、株価も下落していた。
4~6月期はもともと業績が悪くない時期だ。2013年には9兆5300億ウォンもの営業利益を稼ぎ出した。これは同年の7~9月期の10兆1600億ウォンに次ぐ規模だ。ところが、今年春以降、頼みのスマホの販売が伸び悩み、「かなり厳しい」という見方が証券市場では出ていた。
それでも事前のアナリストの収益予測は、8兆1000億~8兆2000億ウォン前後がコンセンサスだった。8日に発表になった営業利益(暫定値)はこれよりさらに1兆ウォンも低い数字になった。
営業利益が8兆ウォンを割り込んだのは、2012年4~6月期以来2年ぶりのことになる。
4~6月期の売上高は52兆ウォン。これも2年ぶりの低水準で前年同期比9.5%減だった。売上高が前年同期比で減少に転じたのは9年ぶりだという。
大幅減益の最大の原因はもちろん、スマホの販売が期待を下回ったことだ。特に欧州や中国市場で、中国メーカーなどライバル企業の低価格機種の攻勢を受けて、これまでのような高値での「強気」の販売がしにくくなったことが響いたようだ。
スマホの成長鈍化、ウォン高も追い討ち
サムスン電子は8日、「業績暫定値発表説明資料」を配布した。これまで、業績見通しは数字だけを発表してきたが、「4~6月期の実績が市場の期待値を大きく下回ったため、市場と投資家の不確実性に対する憂慮を緩和し、理解を深めてもらう目的」で異例の説明資料配布をした。
この資料によると、大幅減益の原因は3つだ。
1つは、為替。4~6月期中に、ウォンがドルだけでなく、ユーロ、さらに他の新興国通貨に対しても高くなり、採算性が悪化した。