米国は今、大学の卒業式シーズン真っ盛り。そんな中、6月14日、カリフォルニア州のカリフォルニア大学アーバイン校にオバマ大統領の姿があった。
約7000人の卒業生を前に、「今日ここに来たのは、君たちは楽観主義でいいんですよと伝えたかったから」と切り出した大統領は、「人生で何かチャレンジするとき、誰かがいつも批判したり妨害したりしようとするが、私の経験からすれば、そんなことは実際、何の問題でもないんだ本当は・・・」と述べ、自身が進めた医療保険改革や、イラク・アフガニスタンからの米軍撤退でテロ撲滅への戦争加担はしないという方針を打ち出したことで、米国に社会保障が整った平和な社会を構築させてきたと強調した。
オバマ大統領は、近年の米国大統領の中でも若者との対話を非常に重要視することで知られている。4月23日から29日まで訪問したアジア諸国でも、アジア重視のリバランス政策を掲げ、経済・外交安全保障面で訪問諸国との関係強化を再確認し、アジア太平洋地域内でのコミットメント強化を改めて明確にする一方、若者との交流にも積極的だった。
マレーシアで国民的人気の女性政治家も対話集会に出席
日本では報道されなかったが、アジア歴訪でのハイライトの1つはマレーシアの首都・クアラルンプールのマラヤ大学で開催された「東南アジア諸国連合10カ国の若きリーダーたちとの対話集会」だった。当然、次世代を見据えた対アジア地域への影響力を見込んでいることもあるが、オバマ大統領は就任後、外遊の先々で若者との交流や意見交換を展開してきた。
これまでのアジア外遊の中でも、今回のマラヤ大学の対話集会はASEAN諸国の若き指導者たち10カ国約400人を集結させるという、「アジア回帰を見据えた中での重要な会議の1つ」(米政府筋)と位置づけられていた。筆者もホワイトハウスのプレス招待を受け、取材した。
その招待者の中でメディアの目を最も引き付けたのが、オバマ大統領が今回面会するかが注目されたマレーシアのカリスマ指導者・アンワル元副首相の長女で、国会議員のヌル氏。将来はマレーシア初の女性首相との呼び声高く、同副首相率いる人民正義党(PKR)副総裁でもある彼女は、若者を中心に国民に絶大な人気のある政界の若きスーパースターだ。
集会が開かれる前の会場ではヌル氏を一目見ようと、着席していた招待客の若者たちが彼女を囲み、自然に人だかりができて、しまいにはヌル氏と仲良く顔つき合わせて携帯電話で自分撮り(セルフィー)する若者が列を作る騒ぎに。