AsiaX(アジアエックス) 2014年05月05日

 何百人もの乗客を乗せたジェット旅客機を操縦して大空を飛んでみたい――そんな夢を本物の旅客機のコックピットそっくりのフライト・シミュレーターで誰でもかなえられる場所が、フライト・エクスペリエンス・シンガポール。元々はニュージーランドのクライストチャーチで始まったサービスです。

フライト・エクスペリエンス・シンガポールを運営するキャストン夫妻。航空業界の大先輩としてこれから活躍する人材の育成にも力を入れている

 運営しているのは、英国人のキャストン夫妻。夫のマイケルさんは英国航空に30年、シンガポール航空に10年勤務した元パイロット。妻のジョアンナさんも英国航空の元客室乗務員で、現在はシンガポール航空で乗務員向け研修の教官も務めています。

 2008年にマイケルさんがパイロットを引退し、フライト・エクスペリエンス・シンガポールの運営を夫妻で手がけることになりました。

 「アメリカ同時多発テロ以降、コックピットには関係者以外一切入れなくなりました。以前は飛行中にお客様が来て、パイロットと会話することもよくあったんです。一般の人に、せめてシミュレーターで体験してもらえたら、と考えて引き受けました」。

操縦桿を操る難しさや面白さを体験

フライト・エクスペリエンス・シンガポールは、大観覧車「シンガポール・フライヤー」に併設のショッピングビルの2階にある

 フライト・エクスペリエンスに設置されているシミュレーターは、小型ジェット旅客機ボーイング737をベースにしたもの。1967年から生産され、2013年には通算7500機を超えたベストセラー機です。

 パイロット養成訓練でも使用されているシミュレーターで、実機と同じ装備のコックピットが中にすっぽり収まっています。

 内部には、本物と同じように計器やスイッチがずらり。左側の機長席に座れば、気分はすっかりジェット旅客機のパイロットです。訓練を受けたことがない人でももちろん心配無用。インストラクターが隣の副操縦士席に座って丁寧に教えてくれます。

 ここでは、世界各国の空港での離発着をシミュレーション可能。自分で好きな空港を選べ、時間帯や天候などの条件も設定できて、それに合わせて窓の外の景色も変化します。

 もっとも、フライトのシミュレーション中は水平儀や高度計を見ながら機体のバランスを取って、高度を維持するだけでもひと苦労。初心者は外の景色どころではなくなります。