シェアリングエコノミーの最先端を走るオンライン宿泊仲介サービスAirbnb。先週公開の前篇に続き、日本代表の田邉泰之氏に話を聞く。
シェアリングエコノミーは、無駄を省く一方で生活をリッチにする
小川 Airbnbはまさにシェアリングエコノミーを体現するサービスだと思いますが、まだ発展途上のシェアリングエコノミーの潜在性をどのように捉えていますか?
田邉 世界経済フォーラムなどでも言及されていますが、2050年には世界の人口が90億人を突破し、そうなると資源が足りなくなる。人類が存続していくためにも、シェアリングエコノミーのアプローチは不可欠になると思います。
車や自転車から子供のおもちゃまで、持っているけど普段の稼働率が低いものなどをシェアし合うことはもっと一般的になるのではないかなと。
小川 よくよく考えれば、日本でも昔からその原型はあるのですよね。近所同士の醤油の貸し借りから子供の洋服のお下がりまで、いまで言うシェアリングエコノミーのような、ある種のエコシステムが存在しました。
しかし先進国では経済が豊かになる中で所有意識も強まり、そのエコシステムもだんだん希薄化した。その所有型経済が熟すとともに、インターネット、ソーシャルメディアにより新たな共有の習慣が育ったことで、いまあらためて共有型経済の価値が見直される流れの中にある。
田邉 まさに昔からあったそのエコシステムが、新しい時代の形に沿って復興している感じがします。
いまのシェアリングエコノミーには、無駄を省くという観点と、普段の生活をリッチにするという2つの観点があると思います。前者は日常生活の中で必要になるけれど、全員がわざわざ買う必要はないもの。お互いで貸し合ったり、譲り合ったりすれば済む、例えば車や家具、衣類などはそれにあたります。
後者は例えば別荘や船などです。なくても困らないけど、たまに利用できたらリッチな気分が味わえるものです。別荘の利用率は年間10%程度というオーナーもいるわけですから、残りの90%を利用したい人に貸せばお互いハッピーですよね。
また、これからのシェアリングエコノミーにおいては、「自分に合ったものを手に入れる、利用する」という価値観が浮き上がってくると考えています。マスプロダクツではなく、カスタマイズされたものへのニーズです。