マット安川 女性の活躍が政策として進められている中、夫婦・家族問題評論家の池内ひろ美さんに日本の女子力推進事業を取り巻く環境や、政府のやるべきことについて伺いました。
ベビーシッター事件は政治の責任。母親は責められない
夫婦・家族問題評論家。東京家族ラボ主宰。結婚と離婚、恋愛、親子関係などのコンサルティングを行う。新聞社系文化センター講師を務めるほか、マスコミ出演も多い。『男の復権』『妻の浮気』『結婚の学校』『良妻賢母』など、著書多数。(撮影:前田せいめい、以下同)
池内 インターネットを介してベビーシッターに預けられた子が、遺体で見つかった事件がありました。安易に子どもを預けることを非難する方もいますが、私はこの件のお母さんを責めることはできないと思います。
なぜなら彼女は、経済的に困窮する中で自分が働かないといけないからこそ、子どもの安全を守るためにベビーシッターを利用したんです。しかも、以前にも同じところに預けたことがあって、よくなかったからもう利用しないと決めていたのに、その業者は名前を変えて営業していた。明らかに悪いのは業者で、彼女はその被害者なのです。
この問題を突き詰めて考えると、結局は保育所の待機児童の問題が解決されていないということに行き着きます。保育所がちゃんと整備されていればこういう不幸な事件は起きませんでした。
待機児童をゼロにしたとおっしゃる自治体もありますが、残念ながら事実とは違います。例えば母数を求職活動をしている人だけ、あるいはすでに仕事を持っていて働いている人だけにするなど、統計の取り方を変えただけのことです。
私は小学校の空き校舎に、老人施設と託児施設を併設したらどうかと思います。少子化の今、廃校になった小学校がたくさんあるんです。そこには教室もたくさんあるし運動場もあります。そこでお年寄りが暮らし、いろいろな活動をしながら、子どもたちを見守るということができたらいいと思います。
大統領選の「クッキー対決」が象徴するアメリカのジェンダー問題
アメリカでは女性の社会進出が進んでいて日本は遅れていると思われがちですが、必ずしもそうではありません。
例えば女性が企業で昇進していくとき、見えないガラスの天井が上に行くのを阻むという話があります。このガラスの天井という言葉を使ったのはヒラリー・クリントン(前米国務長官)でした。彼女ほどの人ですら、性別というハードルを感じたわけです。