中国、南シナ海で実弾演習 領有権めぐる裁定前に

中国国営メディアは2016年7月9日、フィリピンとの南シナ海の領有権をめぐる国際仲裁裁判所の裁定が迫る中、同水域で実弾を使用した軍事演習を開始したと報じた。中国南部・広東省珠海での航空ショーで試験飛行する同国最大の国産軍用輸送機「運20」(2014年11月11日撮影、資料写真)。(c)AFP/JOHANNES EISELE〔AFPBB News

(本記事は2014年4月9日に公開されました)

 この半年ばかりの間、東南アジア諸国を何度も巡っていると、友人がたくさんできる。実に嬉しいことだ。

 クアラルンプールから帰国してすぐに、その内の1人から急ぎの便りが来た。フィリピンの若い友人からである。先般、マニラを訪問した際に、中国の海洋進出問題を話し込んだ1人だ。

 ゾイロ君という。フィリピン外務省が頼りにする33歳の新進気鋭の弁護士資格を持つ外交官である。ほとんど1人で、大国、中国に対峙して、国際司法を通じた取り組みを行っている。アキノ大統領が頼りにするのは、こうした若いフィリピン人の活躍なのだ。

 実は、フィリピン政府は、この3月30日に国際仲裁裁判所にフィリピンの主張を示した申述書を提出した。フィリピン政府が提出した申述書は、40以上の地図を含め、4000ページ近くに及ぶものである。

南シナ海に対するフィリピンの歴史的主張

 さて、メールを開けてみると、フィリピン政府が国際仲裁裁判所に提出したばかりの膨大な申述書のエッセンスとでも言える内容である。フィリピン政府による申述書そのものは、いまだ開示されないものであるが、ゾイロ君からのメールには、フィリピンが言いたいことが明瞭に書いてある。

 そして、ゾイロ君によれば、ぜひ日本の皆さんにフィリピンの主張を理解してもらいたいので、なにとぞよろしくお願いしたいと書いてある。頼まれたからには断れない。アジアの同朋への人情だ。

 この場を借りて、その要点を紹介させていただきたい。それは、歴史と法律の2つからなる議論である。

 最初は、中国の南シナ海に対する歴史的な主張に対する、フィリピンによる東南アジア諸民族の歴史的事実を踏まえた正当な反論である。フィリピンの主張は実に明確である。