日本にいるバングラデシュ人といえばかつては「出稼ぎ労働者」というイメージだったが、それはもはや過去のものになった。高学歴のホワイトカラーが少しずつ増えているのだ。

 日本には1万5000人ほどのバングラデシュ人が住んでいると言われ、そのうちIT関連の仕事の人は300人を超すという。

 筆者は2013年にバングラデシュ大使館が開催したITセミナーでIT業界で働く多くのバングラデシュ人と言葉を交わした。名刺交換のしぐさ、日本語、やや控えめな態度など、彼らが「まるで日本人そのもの」であることに驚かされた。

 非漢字文化圏なのにもかかわらず、あまりにも日本語に長けているので、筆者は出会うバングラデシュ人に「あなたの日本語はなぜそんなに流暢なのか」と何度も質問した。すると、どうやら日本語はベンガル語と文法が似ているので学びやすいということのようだ。

 彼らは流暢な日本語を使って日本でどんな仕事をしているのだろうか。東京で活躍する3人のバングラデシュ人を取材した。

名刺交換の翌日には「お礼」メール

 ラーマン・ワイエスさんは30歳。ITA(東京都品川区)という会社でブリッジエンジニアとして活躍している。同社は日本を本社とし、バングラデシュとアメリカに支店を置くバングラ資本の会社だ。主な業務はオフショアビジネスで、サルカル・アブル・バシャル社長とラーマン・ワイエスさんがブリッジ役を務めている。

 ラーマンさんはバングラデシュの大学を卒業した後、2009年に来日した。バングラデシュでは日本語を学習した経験はないが、日本に来てからの4年半で日本語能力試験2級を獲得した。