例えば内閣府の「国民生活に関する世論調査」では、2003年および2013年時点の60代に「今後の生活において力点をおきたい項目」を尋ねている。そのなかで、この2世代に大きな差が見られたのは、「住生活」と「自己啓発・能力向上」の項目。いずれの項目も、2013年時点における60代の方が多く挙げている。
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「つまり、団塊世代の方は、老後の過ごし方において、住生活と自己啓発へのこだわりが非常に強いと考えられます。特に60代から住生活への意識が高いというのは、これまでの高齢者より早い段階での住み替えを考える人も増えると捉えられるでしょう」(池本氏)
従来の介護施設や老人ホームは、高齢者が体に不自由を感じてから入居するケースが多い。だが団塊世代のシニアは、もっと早い60代中盤から、介護を受ける視点だけではなく、より充実した老後の暮らしを求めて居を移す人も出てきている。
シニアの住まいのカギは「学び・趣味・役割」
先ほどの内閣府調査でもう1つ重要になるのは、団塊世代のシニアにおける「自己啓発」意識の高まりだ。
リクルート住まいカンパニーが行った調査の中で、「住み替え・リフォームの際に実現したいこと」を聞いたものがある。ここでも団塊世代(63~67歳)とその前の世代(73歳以上)を比較したのだが、住居をテーマにした調査でありながら、同様に団塊世代の強い「自己啓発」への意識が表れた。
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