ディスコの夏井丈俊社長は知る人ぞ知る有名人である。ボストンキャリアフォーラムの主催者と言えばぴんとくるだろうか。バイリンガルのために1987年に始めた就職イベントは、いまや世界で活躍したい日本人にとって欠かせない存在となっている。

 夏井社長によると日本の人材採用は世界標準からどんどん離れていっているそうである。その最大の原因は日本の大学経営にある。

 あえて刺激的な表現を使えば、既得権益に守られた大学の教授会のような組織が若い学生の将来を台無しにしているとも言える。いまの日本の採用システムでは何が問題なのか、夏井社長に聞いた。2回に分けてお送りする。

「ボストンキャリアフォーラム」を25年以上にわたり運営

川嶋 御社は人材採用分野では草分け的存在ですね。

夏井 当社は1973年に創業し、40年の歴史があります。創業当初は、人材分野の広告代理店業務を主としていました。ところが、90年代に雑誌の時代からインターネットへと変わっていく中で、業務が多様化していきます。

 我われもお客さまのさまざまなニーズに応え、ホームページの制作や会社説明会の運営など、広告からの派生型サービスが増えていきました。そして現在は、企業の人材支援として、採用、グローバル、育成、組織の4分野を中心に業務を行っています。

夏井丈俊社長(撮影:前田せいめい)

 国内の新卒・中途採用、グローバル系の採用支援、育成系の研修トレーニング、大学等の学生募集に関するコンサルティング、中小企業の人事コンサルティングを含めた組織制度設計なども手がけています。

川嶋 夏井社長はどういうご経歴なんですか。

夏井 僕が入社したのは1987年で、当時は社員数がまだ40人程度の小さな会社でした。

 たまたま会社説明会に行って、こういう仕事があるのか、面白そうだなと。まだ若い会社だし、これから伸びるなと思い入社しました。

 ずっと営業マンとしてやってきて、そのほかメディアの企画やプロジェクトの立ち上げなどにも携わり、98年には米国勤務になって2006年まで8年間駐在しました。