韓国の代表的保守紙が自国を「半開の国」だと警鐘を鳴らす

 今後、日本企業が“韓国はずし”を進め、親日的で、新興国としての成長が大きく期待できるASEAN諸国と、経済的だけでなく南シナ海の領有権などの政治・安全保障分野でも緊密化することは明白だ。

 その布石として、靖国参拝前に安倍首相は、12月中旬に開催された日本とASEAN諸国との一連の首脳会議で、総額2兆円に及ぶ途上国援助(ODA)や円借款締結を表明。2015年のASEAN経済統合も見据え、対ASEAN外交の円熟を内外にアピールした。

 一方、韓国では朴大統領の支持率がここに来て急落している。年金政策の撤回などの公約不履行に始まり、国の情報機関による大統領選介入問題などの国内問題が大きな背景だが、企業や家計の破綻の急増による経済課題への失策への批判も大きい。

 12月20日に韓国ギャラップ社が発表した世論調査結果によると、朴氏の支持率は48%。9月の67%から3カ月足らずで20ポイントも急降下。韓国政界では大統領の辞任を求める声も出てきている。

 長期化する鉄道ストライキなどの内政問題だけでなく、日韓問題、直近では北朝鮮の張成沢前国防副委員長処刑で緊迫する朝鮮半島情勢など、内憂外患で難題山積だ。

 中でも韓国にとって重要なことは、日韓関係を修復することだ。「日本型デフレの兆候」を指摘する声もあり、韓国経済は長期低落への一途を辿る危険性を孕んでいる。

 9月に中央日報で、こんな論調を目にした。

 「新興国がうらやむ韓国は、携帯電話、自動車、造船など応用経済の寵児のほかに革新商品を出したことがない。国家競争力は下落の一途だ。ヘリテージ財団は31位から34位に、世界経済フォーラムでは19位から25位に落ちた。この最も大きな原因は、領域別の格差にある。製品(ハードウエア)は最上位圏なのに、制度(ソフトウエア)は最下位圏。好戦的労組、政府規制、政治不信、硬直した雇用体制においてはブラジル・インドにさえ及ばないという評価は今さらのことではない」とした上、「ハードウエアに邁進してきた『半開の韓国』が必ず肝に銘じて再確認すべき見本なのだ。制度革新が文明開化の目標であるとすれば、韓国はまだ半分しか開花していない『半開の国』なのだ」

 1965年創刊の日刊紙である中央日報は、朝鮮日報、東亜日報と並び、保守系紙として知られるが、この現実主義的な論調は、韓国の国益を損ねる朴大統領への危機感の表れとも取れる。

 ソウル大学教授の宋虎根(ソン・ホグンル)氏によるこの論調をお借りすれば、今の韓国は、日本からの「鵜経済」の手縄(たなわ)が外された「半開の国」ということになるのだろうか。