米アップル、iPhone位置情報機能めぐり慰謝料払う 集団訴訟も 韓国

韓国ソウル市内にあるKTのショップ〔AFPBB News〕

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 KTは、今も政府が大株主なのか。そうではない。2013年6月末時点での主要株主を見ると、筆頭株主は国民年金で8.65%だが、これを「政府が筆頭株主」と見るには無理があるだろう。

 外国人持ち株比率は、NTTドコモの5.46%を含めて43.9%に達する。残りはファンドや一般投資家が保有する。2002年に完全民営化した純然たる民間企業なのだ。

 だから、政権交代とともに会長が交代するというのは本来の企業統治から考えればおかしな話ではある。

繰り返される奇怪な人事、今回も「来るものが来た」

 だが、この「おかしな話」が繰り返されていることも確かだ。

 完全民営化後最初の社長は、「留任確実」と言われながら2005年夏に「後進に道を譲る」として辞任した。後任者、つまり李錫采会長の前任者の人事はさらに奇怪だった。

 盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権中に就任したこの社長は李明博大統領の就任と前後して任期3年の留任を果たした。しかし、当時の子会社、KTFの納入品商談疑惑などで捜査を受け、その後拘束されてしまった。

 その後に就任したのが李錫采会長だった。

 「あまり無理に留任すると必ず『何か』が起きる」。たび重なる「交代観測」を突っぱねる李錫采会長だったが、韓国の産業界ではこんな話が広がっていた。そして、これが現実となった。

 2013年10月22日、ソウル中央地検の捜査員が、KT本社や系列会社など16カ所に対する強制捜査に乗り出した。2013年2月と10月に、市民団体が相次いで李錫采会長を背任容疑で告発したことを受けた捜査だった。

 容疑は、KTが教育事業に「無理に進出して会社に巨額の損失を発生させた」ことと、保有する不動産などを「格安で売却した」ことなど。

 真相解明は捜査の行方を見ないとなんとも言えないが、「来るものが来た」というのが、産業界の反応だった。