今クール(7~9月期)で最も人気のあるドラマと言えば、バブル世代の銀行員の組織内での奮闘を痛快に描いた「半沢直樹」であろう。ご存じの通り、回を追うごとに視聴率は上昇を続け、瞬間最高視聴率は30%を超える勢いである。

 JBpress読者の中にも、共感を得ながら毎週楽しんでいる同世代の方が多いのではなかろうか。かくいう筆者もその1人だ。この世代、企業内では厳しい立場だと言われているが、そもそもは元気のよい世代である。「倍返し」などという攻撃的な言葉にも、みなさん魅力を感じていることだろう。

 さて、今回はそういったドラマの魅力はさておき、いかにも「アナログ」な銀行内に、もしも「企業内SNS」といったコミュニケーションツールが存在していたらどのようになっていたか? について考えてみた。

 今でも世の中には、ドラマの世界に近い組織体質の企業は多い。つまり、足の引っ張り合いが常態化していたり、社員にとっては生き残ることが最大の目標だったりするような組織だ。また、コミュニケーションではとかく対面を重視し、社内手続きや意思決定の仕組みも規則に縛られている。形式に則った書面(紙)でのやり取りや、複雑な稟議を経なければ物事が前へ進まない。

 では その典型とも言える「東京中央銀行」で、企業内SNSがコミュニケーション手段として取り入れられているとしたら? 半沢には追い風なのか、向かい風なのか?

組織を超えて味方を増やせる?

 SNS擁護派はこう言うのではなかろうか。「半沢は正しいことをしているので、オープンなSNSを通じて味方が出てくるはずだ」

 SNSのメリットとして、組織、階層を超えた情報共有・コミュニケーションが可能になるという点がある。SNSが一支店だけでなく全社的に使われていれば、半沢の訴えが支店長とその一派に握りつぶされたり、捏造されて上位層に伝わるということは避けられるだろう。社内のどこかに心ある味方を見つけ出せるというメリットは期待できそうだ(ただし、身の危険を顧みず、実際に半沢を助けてくれるかどうかは分からないが)。