だが、昨年パッピンス業界を劇的に変えてしまうカフェが登場した。その名は「京城パッチプ、玉楼夢」という。

 ここでは、夏季限定のはずであったパッピンスを年中食べられるデザートに格上げした。昨年開店した「京城パッチプ、玉楼夢」はすでにソウルの4カ所に支店を設け、今年の下半期にはもう6店舗(ソウル近郊を含む)増やし、計10店舗の展開を目前にしている。

パッピンス専門店が続々登場

超人気店、玉楼夢の小豆を煮る釜

 これに端を発したパッピンス専門店が、軒並みソウルにでき始めた。まさに、ソウルは今パッピンス専門店の激戦区になっているのだ。

 その中心となっている「京城パッチプ、玉楼夢」は、その名もパッピンスの原点に立っていると言える。「京城」というのは、植民地時代のソウルの呼び名であり、その頃氷あずきが日本から輸入され、韓国で根づいたことを指す。

 「パッチプ」は、小豆屋という意味。「玉楼夢」の売りは、昔ながらの釜で丹念に煮た小豆を使ったパッピンス、つまりレトロな感じのパッピンスである。

玉楼夢のパッピンス

 これまでの見た目華やかなパッピンスではなく、色は氷と餅の白と小豆の色だけで、容器には真鍮を使い重厚な感じを与えている。

 玉楼夢ができるまで、不動の1位と言われた「MEAL TOP」のパッピンスも小豆を茹でる職人が別にいるほど、小豆の茹で方にこだわっている。

 「MEAL TOP」は、1985年現代百貨店・本店が開店したと同時にデパート内にフレッシュジュース専門店として開店したが、夏季はパッピンス、冬期は日本風のゼンザイをメニューに加えた結果、行列ができるパッピンスのお店として知られるようになり、2009年からはパッピンス専門店になった。現在、支店は11店舗。

 若者の街、新村(シンチョン)にできた「ホミルバッ(ライ麦畑)」も行列のできるパッピンス専門店だ。ここで注文をすると、牛乳入りの柔らかな質感のかき氷のガラス器と小豆と餅が入ったガラス容器が別々に出てくる。