今回の参議院選挙から公職選挙法(公選法)が改正され、インターネットを使った選挙活動が可能になった。メール、SNSのコミュニケーション手段としての特性という観点から、「ネット選挙」解禁について改めて触れてみたい。
ニュース番組などでも指摘されていたのでご存じの方も多いかと思うが、今回のネット選挙解禁では、有権者の「この人いいね、この人に投票しようね」といった選挙運動にあたる行為が、「メールだとNG、SNS(ソーシャルネットワークサービス)だとOK」という少々分かりにくいことになっている。
大きな判断基準として、「電子メール」と「ウェブサイト(ウェブサービス)」を分類するという考え方がある。後者に属するのがホームページやブログ、さらにはSNSということになる。そしてざっくり言うと、前者はNGで後者はOKということだ。
SNSにもメール同様のリスクがある
ややこしいのが、SNSで言うところのメッセージは後者に属する扱いとなり、そこで「この人に投票してね」というメッセージを発信しても大丈夫だという点だ。LINEやツイートでの発信も問題にはならない。
一方、メールは禁止である。理由として主に3つのリスクがあるという。つまり、閉じた場であることから発生する誹謗中傷やなりすましのリスク、選挙運動でのメール活用の決まりごと(名前を書く等)に違反してしまうリスク、ウィルス等をばらまいてしまうリスク、だ。
これは理屈としてはあまりしっくりこない。これらのリスクがあるからメールがNG、というロジックは成り立たないと思う。
筆者の解釈からすると、人に何かを伝達する手段は、いまやメールからSNSへ、という流れができつつある。特にプライベートのやりとりは、若年層はLINEで、中高年はフェイスブックで、というのが世間の潮流のようだし、他にもMixiやツイッターも根強いユーザーがいる。
またメールは「閉じられた」空間というが、そもそもSNSも決してオープンなコミュニケーション手段ではない。ツイッターなどに至っては初めから匿名性が高く、誹謗中傷やなりすましのリスクはメール同様に存在する。また、ウィルス等の心配についてはメール以上にリスキーかもしれない。