米中戦略・経済対話に参加したアメリカ太平洋軍司令官ロックリア海軍提督は、米中軍事関係が極めて良好な方向に進んでいるとの見解を記者会見で語った。
この発言の背後には、JBpress(7月12日)のコラム「米国を喜ばす術を身につけ始めた人民解放軍」で宮家氏が指摘したような中国人民解放軍側の米軍に対する態度の変化という流れとともに、アメリカ軍最高指導層内部にも「関与政策派」的立場を具体的動きとして打ち出してくる勢力が力を得ていることを示している。
太平洋軍司令官が中国海軍の勢力拡大を容認
太平洋軍司令官ロックリア提督は米中戦略・経済対話後の記者会見で米中軍事関係の進展を以下のように称賛した。
「アメリカ軍と中国軍の関係強化推進は極めて称賛に値すべきものである。“称賛に値すべき”というのは、われわれは2カ国の意見が合致する領域や、2カ国が合意に至る余地が大きい分野に関して非常に良好な対話を維持しているし、意見が一致しない案件に関しても冷静に正面から取り組むことができるからである。摩擦が生ずる事案というのは、両軍同士が理解し合ってもおそらくは解決はできないであろうが、管理することはできるであろう」
そして、最近実施されたアメリカ海軍と中国人民解放軍海軍による合同人道支援・災害救助(HA/DR)訓練や、アメリカ軍と中国人民解放軍によるHA/DR机上演習、それにアメリカ軍艦や中国軍艦の相互訪問などの具体的事例を語って、米中両軍、とりわけアメリカ海軍と中国海軍の友好関係が具体的に進展していることを説明した。
さらに提督は、2014年の夏にハワイ周辺でアメリカ海軍が主催して実施される「リムパック(RIMPAC)-2014」に中国海軍が参加を表明していることに関して「中国軍、中国海軍にとって大きな第一歩である。中国側は、海をわたってリムパックに参加することにワクワクしているようだ。ぜひとも(中国海軍のリムパック初参加が)成功するように願っている」と、大歓迎の意向を表明した。
ロックリア司令官は、明らかに質量ともに強化されつつある中国海軍が活動範囲を拡大させている傾向に関しては、次のように語った。
「アメリカ海軍は引き続きアジア太平洋地域での存在を維持していくと同時に中国海軍がその活動海域を拡大しているため、比較的経験が浅く若い双方の将兵が今以上にしばしば遭遇する機会が増えることは間違ない。したがって、我々は双方の海軍がそれぞれの周辺で作戦する能力を管理しなければならない。・・・両国の海軍は(中国に近接した海域で)プロフェッショナルな行動を相互に取ることができるようになっている」