米国政府が同国の大手通信事業者などから秘密裏に個人情報を収集している問題で、当局は15日、諜報活動はメディアで報道されているような行きすぎたものではなく、むしろ2つの情報収集プログラムによってテロを阻止することができたなどとする文書を公開した。
「昨年調査した通話は300件にも満たない」と説明
米ワシントン・ポスト紙が入手し、ネット上に公開したこの文書(PDF書類)よると、2つのプログラムとは、(1)愛国者法(反テロ法)第215条に基づく通話データ収集のプログラム、そして(2)外国情報監視法(FISA)の702条に基づく、国外の非米国人を対象にした電子メールなどの通信データ収集プログラムだ。
いずれも、連邦議会と外国情報監視裁判所(FISC)で承認されており、定期的に司法省と国家情報長官からの監査も受けているというのが当局の主張だ。
また、収集しているデータは(1)の場合、電話番号と通話時間といった属性情報のみで、通話内容そのものではない。携帯電話の位置情報も含まれていないという。
こうして集めた情報は、外国のテロ組織の関与が疑われる場合にのみ詳しく調べられる。当局がデータベースにアクセスする際はその記録が文書化され、それが監査の対象になる。
また、データベースを操作できるのは訓練を受けたごく一部の担当者のみ。プログラムは外国情報監視裁判所(FISC)が90日ごとにチェックし、集めたデータは5年を経過すると破棄する。
プログラムはこうした方法で運用されており、報じられているような無差別的な傍受ではないのだという。その結果、2012年の1年間に詳細を調査した通話は300件未満。
一方でこれらのプログラムによって、これまで米国と世界20カ国以上で計画されていた数十件に及ぶテロを阻止できたとしている。