経営力がまぶしい日本の市町村50選(13)

 昨日の「飯塚市がアジアのシリコンバレーになる!」では、九州工業大学情報工学部を中心として、地の利、人のネットワークを生かした飯塚市の成長戦略を聞いた。今回は飯塚市長の齊藤守史さんに、人口が減少する中でどのように財政基盤を強化するのかを中心に聞いた。

福岡県飯塚市

 齊藤市長は何度も何度も市職員のネジを巻き永遠活動としてコスト削減に取り組んでいる。その一方で、住みやすい街づくりにも余念がない。

 例えば、市内に総合病院がいくつもあるのを利用して、お年寄りが健康で住みやすい街づくりを目指すと言う。

 それも病気になったら病院にすぐ行けて、救急車が病院に受け入れを拒否されてたらい回しにされることのない街というだけでなく、お年寄りがまずは病気にかからないように、健康な体を作れる街にすると言うのだ。 

 また、子供の学力向上にも極めて熱心に取り組んでいる。日本初の小中一貫教育校を4つも作り、全国レベルですでに高い学力をさらに高めるのだと言う。それができるのも、財政基盤をきちんと強化してきたからである。

 教育とITで活力あふれる若者を呼び込みつつ、お年よりにとっては健康でお金のかからない医療体制を構築する――。飯塚市は日本の地方自治体が目指すべき道を確実に実践しつつある。

工学系人材が集まる“日本一創業しやすい”ITベンチャーの町

川嶋 飯塚市は知る人ぞ知るITベンチャーの町。日本のシリコンバレーを目指しているとも聞きました。大きなビジョンがあるのは素晴らしいことですね。

齊藤守史・飯塚市長

齊藤 地元に九州工業大学の情報工学部と近畿大学の産業理工学部がありますからね。特に九工大の情報工学部は1986年にできた日本初の情報工学部ですし、そういう芽を生かさないといけない。

 幸い学生さんも含めてみんな非常に熱心でね、今いろいろなベンチャー企業が48社あります。

川嶋 いいですね。そうした大学には飯塚市だけではなく広範囲から学生さんが集まる。

齊藤 そう。飯塚市には学生と研究者を合わせると5000人近い人材の集積がある。そこで大事なのは、彼らがベンチャー企業を起こそうというときに支援してあげることです。日本にはシリコンバレーのようなエンジェルがいませんからね。