フェイスブックの利用者が全世界で増加中だ。すでに11億人を超えた。アクティブな利用者数(1日単位)は前年比で28%増の6億1800万人という数字である。今年1月から3月期の収益も前年比で36%も伸びた。
昨年9月、筆者は当欄で「フェイスブックが幕を閉じる日が近づいている」というコラムを記した。月刊文藝春秋でも同じテーマで長文記事を執筆し、多くの読者の方から賛否両論を頂いている。
米国内では利用者が600万人も減少
前出の数字を見る限り、「幕を閉じる日が近づいている」という記述は論点が外れているかのように思える。ただフェイスブックに代わる新しいアプリが登場する可能性は高いことを示唆した。
世界的なフェイスブック利用者は、特に中南米を中心に伸びてはいるが、米国でのアクティブな利用者はすでにピークを越えた。ソーシャル・ベーカーズというリサーチ会社によると、今年3月には600万人減が記録された。米国内で約4%減という数字は過去最高である。
米国だけでなく、利用者減が見られるのは英国、フランス、ドイツ、スペイン、カナダ、そして日本だという。いずれも先進国だ。そして同社の株価も23ドル(30日現在)まで下げており、昨年の新規公開株(IPO)前の関係者の期待ほど大きく伸びていない。
ここで注目したいのは米国の10代のフェイスブック利用者の動向である。
ハーバード大学バークマンセンターとリサーチ会社ピュー・リサーチが共同で5月21日、107ページに及ぶソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の報告書を発表した。その中で、10代の若者はすでにフェイスブックに疲れ始めていると結論づけている。
米国では一般ユーザーがフェイスブックで活発な投稿活動を始めて5年以上の月日が経つ。いくら人気のあるSNSでも、多少飽きがくるのは無理のない話だ。ただ若者が少しずつ離れ始めている現実は無視できない。
実際に10代の利用者の声が報告書の中に紹介されている。そのいくつかをご紹介したい。