もう少しフィリピンについての話題を続けたいと思っているのだが、今回はちょっと脱線してみたい。日本をはじめとして各国からの視察団が連日大挙して押し寄せているミャンマーにまずは飛ぶ。
中国から早くこっそり逃げないと脱出できなくなる・・・
日本が5月の大型連休真っ最中だったとき、ヤンゴンの中心部にあるミャンマーと日本の友好協会でのことだ。
会議室の片隅で初老の日本人と1人の若いミャンマー人が何やらひそひそ話をしている。2人の間にはある製品が置かれている。この製品は、日本のメーカーがほぼ100%中国で生産しているものだという。
「これの生産を全量、一気呵成にミャンマーに切り替えたい。ゆっくりやっている時間はない。秘密裏に工場を立ち上げたいが、できそうか」
どのような製品なのかは残念ながら書くことができないが、人件費が安く何より人口が膨大な中国の恩恵を最大限に受けてきたものである。
「中国は人件費が急速に上がっているし、反日はエスカレートする一方。将来のことを考えると今決断するしかない」
「ぐずぐずして中国政府に勘付かれたら中国から出られなくなってしまう。秘密にそして瞬時にことを進めなければならないのです」
「どこかの週刊誌が『中国は世界の工場』などとあおって、大企業ばかりか調査能力の乏しい中小企業の中国進出を促してきた。しかし、中小企業が中国進出でうまくいっているという話はほとんど聞きません。青息吐息のところばかりでしょう」
企業の海外進出を長年サポートしてきたという初老の日本人男性はミャンマーが注目されている理由をこのように話す。
経済制裁が解除されてまだ日が浅いミャンマーは、インフラの整備も法律の整備もまだこれからである。しかし、中国リスクを回避したい日本の企業にとっては、それらが整備されるまで待てないのである。