今回は韓国が開拓したフィリピン・セブ島の語学留学システムがいかに制度疲労を起こしているかを、日本人向けの留学支援「セブ・イングリッシュ」を展開する小出将人さんのフィリピン進出を振り返る形でお伝えしたい。小出さんはセブ島における日本人語学留学の草分け的存在である。
韓国系語学学校の誇大広告
小出さんは今から5年前の2008年、中国人(日本国籍)の奥さんの強い海外留学熱に促される形でセブ島にやって来た。
「妻の親戚が米国コロラド州デンバーに住んでおり、妻もいずれは米国に住みたいと思っていて、早い時期に英語を勉強したかったようです」
「しかし、米国への留学費用を調べてみたら当時の私たちの予算では全く手が届きませんでした」
そうしたなか、インターネットを丹念に調べていた小出さんはセブ島が語学留学の一大拠点になり始めていることを知る。
当時はほとんどが韓国人向けだったが、その中に日本語のできる韓国人が日本人学生を募集しているケースが2つほどあった。しかし、その1つは新しく立ち上げたばかりの語学学校で日本語によるサポートは全くなかった。
もう1つはそこそこ実績のある学校で「日本全国に支店あるので安心、セブ島では全寮制で全室シャワーとインターネット完備」と謳っていたが、実際に調べてみると誇大広告もいいところだった。
日本全国に支店があるというのは全くのうそ。しかし、授業料と住居費を合わせて月に10万円ですむというのは大きな魅力だった。
そこで、まずは奥さんは日本に残し、自分だけ1カ月間、この学校に通ってみることにした。2008年1月のことだった。
「1カ月住み込んで、1日4時間のマンツーマン授業に2時間のグループ授業を受けられる。世界中どこを探してもこんなに安くてしかも確かに英語が身につく学校はないと思いました」