橋下徹市長率いる日本維新の会の人気に陰りが見えてきました。きっかけは国政進出を睨んだ2012年9月9日に開催された公開討論会からだとするのが衆目の一致するところです。しかし個人的に思うのは、公開討論会の失敗による影響は軽微で、それよりも重症なのはたちあがれ日本(太陽の党)を取り込んだことだと考えています。

 たちあがれ日本は、ベテラン政治家の集まりではありましたが、いかんせん党の実力者が全て70歳以上と高齢に過ぎました。そしてベテランといえども、様々な理由から主流から外されてきた人たちの集まりです。

 日本的美意識で考えれば、たちあがれ日本の実力者たちは、こう考えて維新の会と合流したと思われます。

 「自分たちがトップになれる確率は低く、幸運にもなれたところで年齢的に十分な働きはできないだろう。ならばまだ40代と若い、そして思想的に共感するところの多い橋下に天下を取らせるため、我々は捨て石になろう・・・」

 そう思っているはずだと私は考えたし、おそらく橋下市長もそう考えてくれていると考えて合流を決断したのだと思います。石原慎太郎氏が「橋下君を総理にしたい」と言ったというのも、そうした美意識に沿った発言だと言えましょう。

 ところが実際のたちあがれ日本系を中心とした維新国会議員団は、代表である橋下市長に「国政に口を出すな」と言うほどに傲岸な態度を取るに至りました。

 たちあがれ日本系の国会議員の支持者は、日本国に誇りを持ち、日本的美意識を高く評価する人たちが多いと見られています。

 日本は特別に優れているわけでもないが、特別に劣っているわけでもないと考えている私でも、「なんだ、こいつら?」と驚くほどに豹変した維新の会国会議員団を見て、私以上に日本国に誇りを持ち、日本的美意識を高く評価する人たちは何を思うのでしょうか?

フィレンツェを助けてくれなかったフランス

 <実力以上の名声に輝く君主と同盟を結ぶのは賢明ではない>
(『ディスコルシ ローマ史論』、マキァヴェッリ著、永井三明訳、筑摩文庫)

 実力、そして自信のないチンピラが人を脅す時、どんなことを言うでしょうか? 「オレの兄貴は警察官だ」「暴力団○△組の若頭とオレは仲がいいんだ」など、虎の威を借る狐そのままの脅し文句をたれるものです。