4月、日本では新入生や新社会人が新しい門出を迎えた。一人暮らしの人も多く、テレビに冷蔵庫にと家電品をそろえたことだろう。家電品といえば洗濯機も欠かせないアイテムだ。でも中には洗濯はコインランドリーでと、洗濯機を敢えて持たない人もいるだろう。

 フランスでもコインランドリー派はいる。特に学生たちだ。例えばパリを歩くとコインランドリーを割合と見かけるものの、コインランドリーの数はフランスでだいぶ減ってきているのだという。

 頻繁ではないにしても、ちょっと遠くのコインランドリーまで出かけるのは気が向かないときもある。洗濯中は読書したりネットサーフィンしたりしても、退屈に思えるときもあるだろう。とにかく面倒だからと、毎週末、親元へ洗濯物を持っていって洗う(洗ってもらう)という学生もいる。

 そんなネガティブな面を解消するアイデアが、大きな注目を集めている。近場のお宅の洗濯機を貸してもらうサービスだ。(文中敬称略)

近くて、安く貸してもらえる

洗濯機を介して見知らぬ人同士がつながるサイト La Machine du Voisin には、現在、フランス全国で約2500台の洗濯機が登録されている(写真提供:すべてLa Machine du Voisin) 拡大画像表示

 「ラ・マシン・ドゥ・ヴォワザン(La Machine du Voisin)」(以下LMDVと省略)は、自宅の洗濯機を貸したい人たちと、洗濯機を借りて洗濯したい人たちとをつなぐ仲介サービスだ。全国に広がり、隣国ベルギーにもサービス利用者がいる。

 洗濯機を貸したい人は、まずLMDVのサイトに登録する。そして自分のページに、5キログラム用、6キログラム用といったように洗濯機の大きさや、どんな種類の衣類が洗濯できるか(デリケートな衣類可、ジーンズ可、羽布団不可など)、機能(短縮コースあり、入念すすぎありなど)、1回の使用料といった情報を記載する。洗濯機の写真や自分の顔写真を載せることもできる。

 使用料はサイト運営者ではなく、貸し手自身が決める。1回1ユーロ、1回2ユーロ(1ユーロは約126円、4月16日現在)など様々で、コインランドリーに比べると安い。中には「現金は不要なので、料理一品とかお酒一杯などでいいです」と物々交換を望む人もいる。洗剤を提供する場合は課金してもいい。

 貸し手の住む都市は表示されるが、住所は非表示だ。ただし地図のページがあり、おおよその住所が丸で囲って示される。これにより、借り手は洗濯したい場所が選べる。

 予約には借り手も同サイトへの登録が必要。予約したい月日と時間(午前か午後か夕方)を選択して送信ボタンをクリック! これで両者にお互いのメルアドが通知されるので、住所を知らせ、何時にという正確な時間を決める。電話番号を教え合ってもいい。

 このサービスの利点は、貸し手にとってはお小遣いを稼げる点だ。少額とはいえ、ちりも積もれば山となるだろう。借り手にとっては遠くのコインランドリーまで行く必要がなく、時間が節約できる点、費用を節約できる点だ。