アマゾンは後に「キンドル(Kindle)」で電子書籍事業に参入するが、これはアマゾンのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)がこの時の経験をもとに着想したと言われている。
そして、両社の競合分野は電子書籍だけにとどまらず、デジタル音楽や映画、タブレット端末、モバイルアプリ、クラウドサービスと、広範に及ぶようになった。
またここ最近ではグーグルが商品検索サービス「グーグルショッピング」の拡充を図っている。同社はオンラインショッピングの配達荷物を預かるロッカーサービスの企業を買収するなど、ネット小売り強化に向けた動きも見せている。
なぜグーグルは小売り事業を強化するのか?
一方、アマゾンのタブレット「キンドル・ファイア(Kindle Fire)」はグーグルのモバイル基本ソフトOS「アンドロイド(Android)」を採用している。しかし、アマゾンはキンドル・ファイアでアンドロイドの必要最小限の機能しか使っていない。
グーグルが自社OSを端末メーカーに無料で提供しているのは、ネットサービスやコンテンツの利用者を増やしたいからだ。だが、アマゾンは米アップルと同様、顧客の囲い込みを図っており、グーグルにとってはOSを無償提供するメリットが小さい。
グーグルの2011年度における売上高は380億ドル。このうち360億ドル以上がネット広告の収入で、5億ドルというアマゾンの広告事業との規模の差は依然として大きい。だが、グーグルは安閑としてはいられない状況だ。
同社が小売事業を強化するのは、売り上げの9割以上を占める広告事業から顧客を奪われまいとするアマゾンへの対抗措置と見られている。
