東京国際フォーラムで10月30日と31日に開かれたデジタルマーケティングの国際カンファレンス「ad:tech Tokyo 2012(アドテック東京)」。

 基調講演リポート第3回目は、広告主を代表して登壇したユニリーバのグローバル・メディア・イノベーション・バイスプレジデント、バブス・ランガーヤ氏によるデジタル時代のマーケティング戦略に関する講演をお届けする。ユニリーバは英国に本拠を置く食品・家庭用品総合メーカーである。

インターネットが全てを変えた

ユニリーバのグローバル・メディア・イノベーション・バイスプレジデント、バブス・ランガーヤ氏(撮影:前田せいめい、以下同)

 折しも講演当日の10月30日は、ランガーヤ氏の自宅があるニューヨークを史上最大級のハリケーンが襲った。ランガーヤ氏は家族がフェイスブックにアップしたという、自宅の車が強風で倒れた木の下敷きになっている写真をスクリーンに映し出した。

 苦笑いを浮かべながら「バッドニュースではあるけれど、1万マイルも離れた場所の様子がリアルタイムで手に取るように分かるような凄い時代になった!」と語り、インターネットの普及によって、私たちの写真の撮り方、情報収集の仕方、電話での会話、ビデオの見方までが大きく変革しつつある事例として紹介した。

 ランガーヤ氏は、スポーツ観戦も数人の仲間で集ってテレビの前に陣取って盛り上がるスタイルから、ツイッターやフェイスブックに観戦模様の写真をアップしたり、ゲームの感想を書き込んだりしながら、友人の友人、さらにその友人まで50人、100人規模で楽しむように変化している例を挙げ、SNSの普及などの現状を踏まえてマーケティングを再構築する必要性を説いた。

 実際に、ユニリーバはこの5年間、フェイスブックをはじめとする多くの主要プレイヤーと手を組み、デジタル戦略を強化することでブランドの認知を高める努力を重ねてきたという。「メディアの効率性を最大限に活用することによって、300万ドルの節約に成功し、それが競争力の源泉となっている。私たちはベストのマーケティング企業だと自負している」と胸を張った。