どこまで厳しく行うべき? 日本のBSE検査

BSE沈静化の中での不安の種(後篇)

2012.10.19(Fri)漆原 次郎

 BSEの病原体であるプリオンの感染によって「異常プリオンたんぱく質」が、脳や脊髄などに蓄積されることが分かっています。そのため、検査をする他に、全頭に対してそれらの「特定危険部位」を除去することで、牛肉の安全性の確保を目指してきました。

 しかし、その後の研究で、感染から32カ月以降の牛では、脳に蓄積された異常プリオンたんぱく質が、神経系を通じて末梢神経に広がることが分かってきたのです。つまり、感染末期の牛については、特定危険部位を除去するだけでなく、BSE検査をして感染している牛を見つけ、排除するのが最善策と言えます。

── 一方、「無効な側面」もあるとのことですが、どのようなものですか?

吉川 若い牛に対しての検査は、まったく意味がないということです。今のBSE検査の方法では、その牛がプリオンに感染しているかどうかは、24カ月齢以降にならないと確かめられないのです。

 ドイツや英国の実験では、脳に蓄積する前の段階である脊髄や腰部の神経節に異常が見られ始めるのは24カ月齢からです。それよりも若い牛は、脳を検査してもプリオンに感染しているかを確かめる術がありません。ですので、若い牛への全頭検査には意味がありません。

 検査に有効な側面と無効な側面があることは、分かりにくいのでしょう。消費者だけでなく、行政の人たちにも伝わっていないことさえあります。

規制の緩め方を知らない日本

──BSEを検出する上では意味のない検査が行われていることは差し置いたとして、日本の検査のレベルは世界的に見てどうなのでしょうか?

吉川 検査の厳しさから言えば、日本は世界の中で群を抜いていると言えます。全頭を検査するという考え方そのものが他の国にはありません。それに、BSEの診断についても、日本は群を抜いて高い技術を持っています。

 BSE検査全体として、日本のレベルは他国にはないくらいに高いと言えます。

各国における、BSE検査体制(上)と特定危険部位の範囲(下) (参考:厚生労働省2012年2月発表「牛海綿状脳症(BSE)対策の再評価について」をもとに筆者作成)
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