- (3)今回の首相進退問題を含む日本の政治情勢混迷は、基本的に、「やや長い目で見ていくべき材料」である。内閣支持率および民主党支持率の今後の上下動、参院選の結果とその後にできる新たな政権の枠組みと閣僚の布陣、2011年度政府予算案の内容などを見極めた上で、債券をはじめとする各市場の反応が固まっていくことになる。鳩山首相退陣の有無という政治ドラマの1コマだけで市場が反応できる範囲は、自ずと限定される。
- (4)上記3点を指摘した上で、仮に鳩山内閣が総辞職する場合に市場が目先の関心事にするであろう点を、1つだけ指摘しておきたい。それは財務相人事である。新たな財務相が発する為替相場に関するコメント(円高牽制色が強いかどうか)、日銀の金融政策についての見解(日銀の現在の政策運営に肯定的か否定的か)、消費税率引き上げについての見解、外為特別会計の積立金取り崩し問題についての見解などが問われてくる。
参院選で民主党が単独過半数を確保するという、現時点では可能性が非常に低いシナリオが実現することでもない限り、鳩山首相の進退如何にかかわらず、政治情勢の不安定さ
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