グローバル人材の育成が声高に叫ばれる中、今後より一層重要な役割を担うのが留学カウンセラーと呼ばれる専門家です。

 今回は 留学カウンセラー育成を推進している、日本認定留学カウンセラー協会(JACSAC)会長の藤延芳子氏にお話を伺いました。

留学カウンセラーという仕事

村田 まずは、留学カウンセラーの認定制度がつくられた背景を教えてください。

藤延 これまで留学カウンセラーの育成は留学仲介を行う各企業にゆだねられていましたが、しっかりと体系立ったスキルを身につけてもらおうと、JACSACの母体である一般社団法人JAOS海外留学協議会が6年前に設立され、現在は300人ほどが認定資格を取得されています。

 初めに通信講座の「JAOS認定留学カウンセラー養成講座」を受講いただき、その後2日間のスクーリングに参加して審査に通った方に資格が授与されます。スクーリングは年2回実施していますが、毎回30人ほどが受講されています。

日本認定留学カウンセラー協会の藤延芳子会長(写真提供:藤延氏)

 また、認定資格を授与された留学カウンセラーを会員とするJACSACでは、カウンセラーの方に継続的な学習の機会を与えることとカウンセラー間の交流の場づくりを主な目的としています。

 現在は1~2カ月に1回セミナーや勉強会などを実施したり、毎月メルマガなどを発行したりしています。特にメルマガの現役カウンセラー取材のコーナーは人気があります。やはりほかのカウンセラーの活動状況には皆さん関心が高いのでしょうね。

村田 通信講座とスクーリングは具体的にどのような内容ですか。

藤延 通信講座は留学の基礎知識や心構えなどに関する600ページに及ぶ内容を短期間で身につけられるよう構成されています。主要な留学先国の地理・歴史・社会・教育の知識から、留学カウンセリングや手続きのノウハウ、 留学関連法規まで、広範囲をカバーしています。

 またスクーリングでは、筆記試験を始め、トラブル対応や危機管理、カウンセリングワークショップなど実践的なノウハウを身につけてもらいます。特にコーチングスキルは必須能力になっています。

 というのも、実際の現場では最初の数分で相談者がこの人に相談してみようと思ってもらえるような雰囲気や人間力、傾聴力、引き出す力などがとても大切になってくるわけです。

 これまではカウンセリングスキルは現場のOJTで身につけていた方がほとんどだったと思います。特にマインドやコーチングスキルなどを体系立って現場で教えてもらうことはほとんどなかったのではないでしょうか。