米ウォールストリート・ジャーナルの記事によると、工員は基本給として1カ月に132米ドルの賃金をもらっている。これは法定最低賃金で、ほとんどの工員は、1.5倍以上多く稼げる残業を行っている。
またニューヨーク・タイムズの記事では、生産ラインが大変効率的にできており、工員は1秒たりとも休まない、寮は1部屋に10人が住んでいると報じている。富士康は軍隊式の効率化を追求する工場で、同社は企業のメリットを最優先するのだという。
中国メディアが同社の過酷な労働条件について報道するなど、今、問題が深刻化しており、アップルなどが事態を重く受け止めたというわけだ。
こうした動きに対処するため、郭会長は事件後に初めて工場にやって来た。しかし自殺と見られる飛び降りは、1月に1件、3月に3件、4月に2件、5月に7件と起きており、あまりにも遅い対応だと非難されている。
マイクロソフトの工場も問題あり
中国工場の労働環境を巡っては度々メディアで報じられている。4月には米マイクロソフトの製品を製造している台湾KYEシステムズ傘下の中国工場で、10代の工員が過酷な労働条件で働らかされていると米国のNGO団体が告発した。
この時、マイクロソフトだけの問題にとどまらないと指摘されていたが、最大手の鴻海で起こった今回の事件を考えると、やはり氷山の一角だったのではないかとの疑いは拭えない。
なお、ウォールストリート・ジャーナルは27日付の記事で、鴻海の広報担当者が、給与の引き上げを検討していると語ったと伝えている。ただし、計画は自殺が起こる前からのもので、今回の騒動とは無関係と話しているという。

