南国新聞 2012年8月9日号
マレーシアの経済発展の象徴であるツインタワーと高層ビルを背景にひっそりとマレーの村(カンポン)の穏やかな佇まいを見せるカンポン・バル。マレー系の人々にとってカンポン・バルは心の故郷のような場所、当地在留の外国人や観光客もエリアを訪れるとなんだかほっとする気持ちになるはず。
7月21日から始まったイスラム教の重要な行事ラマダンと断食明けの食事を商うラマダン・バザーは各地のモスクを中心に行われる。しかしカンパン・バルのそれはマレーの文化と習慣を代表するものとして特に重要だ。
1カ月にわたり日中は水も食物もとらないラマダンは大変だが、日没後の晩餐はそれだけに楽しく、様々なマレー伝統料理や飲み物が商われるラマダン・バザーは毎日とても賑わう。
ラマダン期間中はクリスマスのように恵まれない人々へのチャリティも頻繁に催される。断食後の胃腸を保護するマレー伝統のおかゆ「Bubur Lambuk」の無料炊き出しもその一環だ。カンポン・バル・モスク特製の「Bubur Lambuk Agong」は午後4時のお祈りのあとに無料で配布される。
ラマダン・バザーに行ってみよう!
今年は7月21日からのラマダン。バザーは毎日午後1時ごろからスタートし、午後5時くらいには歩くのも困難なほどの人出になる。レストランでは午後6時くらいから席取りが始まり、午後7時には満席に。
テーブルには飲み物や食べ物が並べられ、人々はじっと断食明けのタイミングを待つ。そして午後7時30分ごろにモスクから断食明けを告げる詠唱が流れだすと、楽しい断食明けの食事が始まる。
一方、バザーは午後7時頃には人影がなくなり店じまいの準備。バザーの店主たちも断食明けの食事を始め、午後8時を過ぎると通りは普段の静けさを取り戻す。
バザーでは様々なマレーの伝統的な料理やスナックが食べられるし、この時しか店を出さない人たちもいるので色々とレアなメニューが楽しめたりする。華人やインド系の人々や観光客も訪れ、普段は静かなカンポン・バルの通りは活気に満ちる。
バザーの人々はとても陽気でフレンドリー。とはいっても、断食中の人々の前での立ち食いは避けたいもの。最低限の思いやりと配慮は忘れずラマダン・バザーを満喫してみよう。
とにかく混雑するので車でのアクセスは避けよう。LRTケラナジャヤ線カンポン・バル駅かKLモノレールのチョウキット駅下車で歩くのがおすすめだ。
(堀井満之)
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