2012年12月の大統領選挙を控え、韓国では有力候補者の出馬宣言が相次いでいる。選挙の最大の争点の1つに浮上しているのが「経済民主化」だ。
「経済民主化を実現させます!」
2012年7月10日午前、ソウルの大型ショッピングセンターに集まった数千人規模の熱狂的な支持者を前に、与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クネ)国会議員(60)が大統領選挙への出馬を宣言した。
「経済民主化」を、雇用創出、韓国型福祉確立と並ぶ「3大核心課題」として掲げたのだ。
朴槿恵氏の「出馬宣言」を牽制するかのように、前日の7月9日、野党の民主統合党は「経済民主化のための9つの法律改正案」を発表した。
グループ企業間の「循環出資」を禁止するなど、財閥に対する規制強化を大幅に盛り込んだ内容だった。
政財界、官界で最も話題になっている憲法119条2項の「経済民主化」規定
「経済民主化」は、韓国の政界、経済界、官界で今や、最も重要なキーワードと言ってよい。実は、この「経済民主化」という言葉は、韓国の現行憲法で規定しているのだ。
まずは韓国の現行憲法の119条2項を引用しよう。
「国家は均衡ある国民経済の成長および安定と適正な所得分配を維持し、市場の支配と経済力の濫用を防止し、経済主体間の調和を通して経済の民主化のために経済に関する規制と調整をすることができる」
これが今、韓国の政界、官界と経済界で最も話題になっている「経済民主化」規定だ。
2012年の韓国は「政治の年」だ。大統領の任期は1期5年、国会議員の任期は4年で、2012年は「20年に1度、2大選挙を同じ年に実施する年」だからだ。その2012年の韓国で最大の争点になっているのが、この「経済民主化」なのだ。