「怒り」にどう対処するかを説いた本が売れているのだという。「アンガーマネジメント」に詳しい嶋津良智氏がビジネス上の実体験を交えて著した『怒らない技術』と『怒らない技術2』は合わせて70万部を超えた。

 一方、精神科医で対人関係療法の専門家である水島広子氏は、著書の『「怒り」がスーッと消える本』『身近な人の「攻撃」がスーッとなくなる本』で、“「怒り」という感情をどう扱うかが、心の健康や人間関係の質、ひいては人生の質を決める”と述べ、多くの読者の共感を呼んでいる。 

 政治・経済や官僚機構、「ムラ」社会など、怒りや苛立ちを感じることの多い今、2人の著者に「怒り」が持つ意味とその功罪について語ってもらった。

中国の戦略的な怒りに、感情的に反応している日本

川嶋 今日は「怒り」の専門家であるお2人にお話を伺うわけですが、例えばインターネット上で中国人が怒って、日本人が怒り返して、互いの怒りを増幅し合っているようなところがありますよね。

 怒らないで済めばもっといい関係ができるんじゃないかと思ったりもするんです。そのあたり、どう思われますか。

水島 怒ることが問題を解決、改善する上で効果的か、自分の求める効果が得られるかということを考えてみるといいと思うんです。

 相手を動かそうというときには、こちらに協力的になってもらわないといけません。でも怒ると相手は必ず自己正当化、自己防衛を始めて、絶対に協力的にはならない。

 ですから、怒ることは、発散とかパフォーマンスとしてはいいかもしれないけど、なんらかの問題解決の役には立たないと思います。

川嶋 それは国際関係でも同じことでしょうね。

怒らない技術』『怒らない技術2』 嶋津良智著、フォレスト出版、各900円・税別)

水島 外交っていうのは結局、老獪な老人の知恵だと思います。一般社会でも大声で正論をぶつける青二才より、老獪な知恵でうまく立ち回る年寄りの方が、より多くの人を巻き込んで成果を上げることが多い。

嶋津 中国という国は怒りを戦略的に使っていると思います。国家戦略として怒って、外に敵を作る。で国内を一体化させる、と。昔からの兵法じゃないですか、中をまとめるために外に敵を作れっていうのは。

 中国人は日本を責めて怒りを引き出して、それをどう利用するとか、すべて計算しています。

水島 中国の戦略的な怒りに対して、日本は感情的に反応している・・・。