ただ、フェイスブックが和解を望む理由は十分にあると言われている。同社はIPOに絡み情報開示に不手際があったとして提訴されたほか、株価が急落して公開価格を下回るなど、メディアの話題はネガティブなものが多い。
また、同社の成長戦略も疑問視されている。
同社の収益の大半はパソコン版サービスの広告収入だ。スマートフォンなどの表示面積の小さな端末に大きく、頻繁に広告を表示すると使い勝手が悪くなることから、フェイスブックはモバイル端末経由の広告の割合が非常に低い。
しかしフェイスブックに限らずSNSはモバイル端末の利用が増えており、同社の収益構造はモバイルの成長速度に追いついていないと指摘されている。
フェイスブック、アイフォーンに標準搭載か?
そうした中、6月に入ってフェイスブックのサービスがアップルの次期モバイルOSに統合される可能性があるとテクノロジー系ブログのテッククランチが報じた。
これまでアップルは、マイクロソフトがフェイスブックに出資していること、フェイスブックのサービス基盤がアップルの競合になることから、フェイスブックを避けてきたと言われている。
しかしここ最近、アップルのティム・クックCEOにはフェイスブックに好意的な発言が多く、両社の合意は間近だとテッククランチは伝えている。
フェイスブックにとってもアイフォーンに自社のサービスが搭載されれば、モバイル広告の付加価値が高められるといったメリットがある。ヤフーとの訴訟に時間を費やすより、こうした建設的なビジネス機会を探った方が得策だ。
