沖縄本土復帰40周年記念日の数日前に沖縄の第3海兵遠征軍司令部で、2011年の「トモダチ作戦」で海兵隊部隊を直接指揮したチンバーレーク准将をはじめとする在沖海兵隊(ざいちゅうかいへいたい:沖縄に駐留する海兵隊)幹部たちと、軍事的観点からの在沖海兵隊に関する意見交換を行った。

 私人の研究者である筆者との会合であったため、海兵隊側からは「大きな声では公言できないが」としての率直な話も少なからず出た(したがって、本稿で論ずるのは海兵隊や海兵隊将校の公式見解ではなく、あくまで筆者の意見である)。

在沖海兵隊の戦力縮小を穴埋めする「日本海兵隊」構想

 尖閣諸島を含んだいわゆる南西諸島防衛といった話題の中から、ぜひとも紹介しておきたいのが、「いかにして在沖海兵隊の兵力を減少させながらも中国軍による南西諸島方面進出を抑止するか?」に関する方策である。

 いくつかのアイデアのうち、日本の自主的な防衛努力という観点から日本が自ら実施しなければならない国防努力として、「自衛隊と在沖海兵隊との、沖縄や沖縄周辺海域での効果的な共同訓練」が挙げられた。

 ここでの“効果的”というのは、要するに「中国の侵略的海洋戦力拡張に対して痛撃を加えて抑止効果が期待できるような」といった意味合いである。

 それらの共同訓練には、“小”は「在沖海兵隊射撃場での共同射撃訓練」から“大”は「海兵隊ならびに自衛隊部隊が強襲揚陸艦などに乗り組み、沖縄や先島諸島それに尖閣諸島も含んだ東シナ海で広域機動演習を実施」といった具合に様々なアイデアが含まれる。

 ただし、いかなる共同訓練を沖縄や沖縄周辺海域で展開するにしても、それのみによって在沖海兵隊の戦力縮小を穴埋めして現状の打撃力を維持することはできない。

 近い将来には、海兵隊として完結した能力(併用戦能力+統合作戦能力+緊急展開能力)を保持して沖縄に腰を据える戦闘部隊は「31MEU」(第31海兵遠征隊)だけになる。そのため、いくらハワイやグアムあるいはカリフォルニアやオーストラリアから増援部隊が急派されて、数個の「MEU」(海兵遠征隊)や、より規模の大きな「MEB」(海兵遠征旅団)を編成することが可能であるといっても、沖縄島を本拠地にして海・空から神出鬼没する部隊が縮小されることは、大いなる戦力低下と言わざるを得ない。