「なぜ結婚はうまくいかないのか?」の第3回目は「結婚後の人生が長すぎるから」です。

 狩猟採集時代、つまり弥生時代以前の縄文時代の日本人の寿命は30歳未満でした。これが平均寿命となると15歳程度だろうと人類学者は指摘しています。

歴史から見る婚姻期間

 厳しい環境の中で食料不足が生じていたこと、また医学の未発達のために特に幼児死亡率が非常に高かったために、平均寿命がこれほどまでに短かったのです。15歳以上生き延びた縄文人でも、その多くが30歳そこそこで亡くなっています。

 人生30年と計算し、14歳で夫婦関係になったと仮定すると、15歳で初産、母乳で育てていたために、だいたい3年に1度の出産が限度ということになり、合計で2人~6人の子供を産んでいたことでしょう。

日本の人口、50年後には3割減

寿命が長くなりすぎたことが大きな原因。写真はベンチに座る高齢者〔AFPBB News

 縄文時代は人口がほぼ一定だったので、生き残った子供は2人くらいと見てよいかもしれません。その後、30歳前後で夫婦ともに死んでしまう、それが我々の先祖の平均的人生だったのです。

 恋愛に関していえば、夫婦関係が成立してから15年くらいでその関係が終わっていたということです。

 従って、恋愛感情は15年くらいもてば十分だったわけで、縄文時代の人々にとって、「この人と関係を持って、長続きするかしら?」とか、「老後も一緒にやっていけるの」なんてことを考える必要はまったくなかったのです。

 その後、寿命は徐々に延びていきます。戦国時代の武将、織田信長は「人間五十年、下天のうちを比ぶれば、夢幻の如くなり。ひとたび生を得て滅せぬもののあるべきか」と好んで謡ったと言われています。

 これは16世紀で平均寿命が50歳というわけではなく、50歳というのはむしろ例外的長寿でした。平均寿命では30歳前後だったのではないでしょうか。16世紀でも短命でしたので、一夫一婦制度は維持できました(江戸時代についてはのちほど数字が出てきます)。

 翻って、医学が急速に発達した20世紀。戦後まもない1947年でも男の平均寿命は50歳、女は54歳でした。その後、高度経済成長期を経験して、日本人の食生活は豊かになり、健康への意識に目覚め、医療が充実することによって、平均寿命が急速に伸びていったのです。