日本という国は、国としての機能が低下しているんじゃないのかね。

 日本が凋落しているのは、大物のリーダーを育む社会の土壌がなくなったからだ。しっかり国益を見据えて仕事をしてくれるのであれば、政治家は料亭くらいいいじゃないか、妾くらいいいじゃないかって、おれは思うんだけど。

 バブルが崩壊したあたりから社会全体に大らかな風潮がなくなり、せせこましくなった。だから、大物もいなくなり、社会に小粒ばかりはびこるんだ。

 また、首相や政権がコロコロと変わるから、政治家は選挙のことばっかり考えて、野球選手やスポーツ選手を担ぎ出したりして・・・。国家の将来を、本当に真剣に見据えている指導者いるんだろうか?

 中国はGDPで近々、日本を追い抜くと言われている。北京国際空港は関西国際空港の6倍の利用客がいるというし、新車の販売台数は毎週1万台だっていうから中国の勢いは強烈だ。

 都内の高級ホテルのレストランにも宴会でどんちゃん騒ぎしている中国人がわんさかいる。ちょっと前まで日本の秘境と言われていた東北の温泉旅館だって、いまや中国語が飛び交っている世の中だ。

泣きごとを言うのは、やるべきことをやってから

 物をつくっても売れない時代だから、製造業に携わる者にとっては受難の時代だ。手間暇かけて、工夫してつくったものが、安すぎて利益が出ないどころか、働くほど赤字になるってこともある。

 だけど、国や社会構造に責任を転嫁したところで、仕事が急に舞い込んだり、自分の町工場が繁盛するわけでもない。困難というのは、有史以前から人類にとっては普通の出来事で、それと日常的にヒトは向かい合って生きてきたわけだ。人生には楽しいことだけではなく悲哀があり、希望のあるところにはかならず試練が伴うものだ。試練のない栄光というのはない、とおれは思うんだけど。

 中国に仕事をもっていかれた。物が売れなくなった。だから、つくればつくるほど赤字。これじゃ、町工場は生き残れないって泣きごとを言う前に、やるべきことをやってきたか、ちゃんと考えて手を尽くしてきか、もう一度見回した方がいい。

 人間は大昔からひたすら努力と工夫を積み重ねてきたんだ。その努力と工夫をやっているか、っていう話だ。