ポータル大手の米ヤフーが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手の米フェイスブックを提訴したことが報じられ、その不可解な行動が話題になっている。
ヤフーは3月12日、ネット広告や、プライバシー、SNS関連など同社の特許10件がフェイスブックに侵害されたとし、米カリフォルニア州の連邦地裁に提出した。これら特許の使用禁止、あるいは特許使用料の支払い、そして損害賠償を求めている。
トンプソンCEOの強硬姿勢か?
しかしヤフーは昔から「特許は攻撃の道具ではなく自衛に使うべし」という考えの企業として知られている。
今回の行動には違和感があり、同社がもし方針を大きく変えたとすれば、それは今年1月にキャロル・バーツ元最高経営責任者(CEO)の後任として就任したスコット・トンプソンCEOの考えによるものだと言われている。
米ウォールストリート・ジャーナルの技術系情報サイト、オールシングスデジタルが関係者から得た情報によると、今回の訴訟はヤフー社内で多くの技術担当幹部が反対していたため、準備はトンプソンCEOと法務顧問だけで進められたという。
フェイスブックは、今年2月1日に新規株式公開(IPO)を申請しており、5月にも上場すると見られている。
IPO目前の企業は訴訟に弱い
英ロイター通信は、「IPOを目前にする企業にとって裁判沙汰は是が非でも避けたいこと。そのためフェイスブックはヤフーの要求に譲歩するかもしれない」などと伝えている。
ヤフーは自社の特許を主張して訴訟を提起することはあまりしない企業だが、過去に上場前の米グーグルを訴えたことがある。2004年に子会社オーバーチュアの広告販売関連の特許を侵害されたとして提訴したのだ。
この時両社はグーグル上場の10日前に和解しているが、ウォールストリート・ジャーナルによるとヤフーは3億ドル相当のグーグル株を受け取っている。