韓国のビジネスマンや官僚は朝早くから夜遅くまで本当によく働く。最近は、さらに、夜は大学に通って勉強をし、併せて人脈拡大を図るのがブームだ。韓国でも最も人気の高いソウル大学の夜間コースに2011年9月から6カ月間、実際に通ってみた。

 筆者が通ったのは、名称から勇ましい夜間コースだ。国立ソウル大学の自然科学学部科学技術革新最高戦略課程(SPARC)。名称の通り、自然科学を学ぶための主に経営者向けのコースだ。

仕事を終えてから自然科学を学ぶビジネスマン

 コースは半年間で、秋学期は9月から翌年2月まで。年末年始、旧正月などの休暇があり、実際の講義は13週間だ。毎週火曜日の午後6時半から90分の講義が2コマあり、合わせて26コマの講義を受講できる。

 講義がある火曜日の午後5時半すぎになるとソウル市中心部から30分以上はかかるソウル大学キャンパス内にある自然科学学部にネクタイにスーツ姿のビジネスマンが集まる。

 このコースは、講義前に外部業者が運営する韓国食堂で夕食を一緒することから始まる。2~3回も通えば、同級生はすっかり顔なじみだ。

 講義内容は、8割以上が自然科学だ。地球物理学、化学、遺伝子科学、統計学、数学、ナノテク、水素エネルギー、南極開発、脳科学・・・時間割にはこうした科目がぎっしり並んだ。

 あとの2割は、教養講座として社会科学、人文科学分野の講義だ。韓国の自由貿易協定(FTA)戦略、北朝鮮の最新動向、中国経済の展望など時事問題から文学や芸術まで多様な講義を準備してあった。

韓国トップクラスの専門家が講義

 SPARCの売り物は、何と言っても講師の水準の高さだ。韓国で最高水準であるソウル大学の自然科学学部のバリバリの現役教授が、最先端の自然科学動向を講義する。ノーベル賞候補になったような講師も次々と登場する。

 教養講座も同じだ。ちなみに、韓国のFTA戦略を講義したソウル大教授は、直後に政府のFTA戦略の総責任者である通商交渉本部長(閣僚)に就任した。どの講義も「韓国のトップクラスの専門家が講義する」ことで人気を得ている。