女性は「記念日」が好きです。世の中には様々な記念日がありますが、ワインにも「ワインの守護聖人の日」なる特別な日があります。

 カトリックの国々では、365日すべてに聖人の日が定められています。ワインの聖人とされる「聖ヴィンセント(仏語=サン・ヴァンサン)」の日とされているのが、1月22日です。

 コロンブスは3回目の航海で、カリブ海の小国「セント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島」を発見しました。発見したのが1498年の1月22日、つまり聖ヴィンセントの日だったので、その島名が付けられました。

サラゴサの聖ヴィンセント(ウィキペディアより)

 これは、当時のカトリック信者にとって聖人の日がいかに大きな意味を持っていたかを知ることができる一例です(後にセント・ヴィンセントおよびグレナディーン諸島はイギリス領となり、現在はイギリス連邦内の一国となっています)。

 聖ヴィンセントは、葡萄栽培とワイン生産者の守護聖人とされています。ロワール地方のソーミュールやボルドー地方のサンテミリオンでその名を冠したワインがつくられるほど浸透しています。

 特に、毎年「1月最後の週末」に行われる、ブルゴーニュ地方の「聖ヴィンセントの行進」は有名です。この地方の多くの醸造所には今も聖ヴィンセントの石像が守り神として祀られています。世界遺産の候補地に登録されているワイン街道で、聖職者たちが聖ヴィンセントの像を担いで行進します。ブドウ生産者にとっては、畑への鍬入れが解禁される神聖な「仕事初め」の行事です。

ワインの神様は語呂合わせから生まれた

 ワインに関する聖人は聖ヴィンセントだけではありません。他にも樽職人、ワイン商、ワイン運搬職人、ワインの荷揚げ職人、ワイン検査官などの聖人がいて、30人を超えます。