「タンチョウヅルも金総書記の死を悼む」、超常現象相次ぐと北朝鮮メディア

金正日総書記の死を嘆き悲しむ人民軍兵士〔AFPBB News〕

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 逆に、米国はその思惑を見越している。米国は今まで色々な形で北朝鮮外交を続けてきましたが、この激変下においてもオバマ大統領が食料支援を行うことを明らかにしています。

 つまり、経済封鎖をする一方で食料支援を行い、飴と鞭を使い分けているんですね。「アメリカナイズド」での民主主義化を北朝鮮に求め、中国側に寄り添わせないのが米国の北朝鮮政策ですから、中国の北朝鮮に対する動きを危惧するのは当然です。

戦後の日本が北朝鮮開国のモデルになる

 軍事的側面からも北朝鮮情勢を考える必要があります。中国は多数の核弾頭を保有していますが、北朝鮮も「撃てる」核兵器を持っている。それを考えると、中国が自分の手を汚すことなく、北朝鮮に対して日本や韓国への核兵器使用を迫る可能性は無きにしも非ずです。

 こうして見ると、北朝鮮という小さな国が、中国・米国という大国を両天秤にかけているのが、北朝鮮側から見た外交の本質だと思います。

 北朝鮮は「アメリカ化された開国」も、「中国化された開国」も目指していないでしょう。私の考えでは、北朝鮮が開国のモデルとしてイメージしているのは、第2次大戦後の日本です。

 当時、進駐軍として入ってきたマッカーサーは、天皇を処刑しようとしましたが、結果的に天皇に人間宣言をさせた上で「マッカーサーの権威は天皇と同列にある」というプロパガンダを行いました。その後、事実上米国が作成した日本国憲法によって、天皇制は残されたのです。

 もし、いま北朝鮮を仕切っている「金王朝」がこの天皇制のイメージを開国する上で取り入れようとするなら、日本の戦後史が北朝鮮にとって重要なモデルになると思います。

日本人拉致問題の解決を急げ

 野田(佳彦)首相が12月25日に訪中し、胡錦濤国家主席、温家宝首相と日中首脳会談を行いました。幅広い課題について意見が交わされましたが、一刻も早い解決が望まれる問題の1つが日本人拉致問題です。

 私は、1970年3月31日に起きた「よど号ハイジャック事件」を解決することが、日本人拉致問題の解決にも大きく役立つと考えています。

 この事件のサブリーダー格である小西隆裕という人物は、いま平壌日本人会の会長をやっているそうですが、これら北朝鮮に亡命したハイジャック犯たちを逮捕帰国させて取り調べ、平壌にいる日本人に関する情報を引き出すことが重要です。