中山 では、軍事的側面から中国の動向を見るといかがですか?
田村 習近平氏の中央軍事委員会副主席就任も1年遅れましたよね。軍部の不満を抑えきれていない中国共産党としては、周辺国と仲良くやりたい一方で強硬姿勢に出なければならない部分もあるはずです。
その点からも、経済よりも外交・安全保障の方が大事です。経済で全部説明がつくのではなく、外交・安全保障があっての経済なんです。
日本はそれを忘れていますよ。中国、北朝鮮、台湾と火種だらけなのに、何のプランやシナリオも考えていないのですから。
「経済で相互依存すれば大丈夫」という意見もありますが、中国で何か起きた場合、下手すると約3万社が進出する日本企業の資産没収や事業凍結もあり得ます。その時に、日本のビジネスを守れるかということが抜けています。
中山 日本では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)問題をめぐり意見が二分していました。「外交・安全保障あっての経済」という田村さんの意見は、この議論にも当てはまると思います。
田村 アメリカも、中国の封じ込めなど外交・安全保障上の目的でTPPを進めてきたと思います。日本がアメリカとの関係を考えるなら自らもアイデアを出すべきだし、中国が台頭する中、アジア諸国もそれを望んでいます。
東南アジアは、中国の知的財産権を無視したコピーだらけの商品や、国有企業が前面に出た商売に席巻され嫌気が差しています。そのカウンターバランスとしてアメリカや日本に寄せられる期待にどう応えるかです。
現行の政治制度からリーダーシップは生まれない
中山 国内の話題に移ります。民主党の小沢(一郎)元代表は、12月11日のインターネット番組で、野田(佳彦)総理が消費税の増税方針を貫いた場合の対応に関して、離党に含みを持たせた発言をしました。
このタイミングで新党結成を匂わせる発言からは、年内の政党助成金交付を狙う意図も見て取れます。2大政党制を主張する本人が、新党ブームの先端を歩んでいる政治の矛盾をどう思いますか?
田村 小沢氏はあれだけ周囲に面倒を見ている人間がいますから、求心力を保って立場を保全するために最後の勝負に出たのでしょう。
ただ消費税は重要な問題であり、私も今ここで増税すべきではないと考えています。
言い方は悪いかもしれませんが、一度財政破綻するならした方がいいのではないでしょうか。財務省の責任をはっきりさせた方がいい。官僚や組織の問題もしっかり見直すべきです。