ウィンドウズ・フォーンとピンク、なぜ2つを同時に進めるのか?
しかし、マイクロソフトはモバイルOSの新版「ウィンドウズ・フォーン7(Windows Phone7)」を発表しており、今秋にも同OSを搭載する端末が各メーカーから登場する。なぜ同社が2つの異なるプロジェクト進めるのかという疑問が生じる。
マイクロソフトの動向に詳しい米Windows IT Pro誌のポール・スロット氏も、「ウィンドウズ・フォーン7を軌道に乗せようとしているこの時期になぜなのか」と自身のコラムに書いている。
各メディアは、ソーシャル・ネットワーキング・サービスなど若者向けに特化した端末でマイクロソフトは巻き返しを図りたいのだと報じている。同社は、ここ数年不振続きのモバイル事業を後押ししたいと考えている。アイフォーンやアンドロイドOSの台頭で、同社のシェアが下がっているからだという。
調査会社の米コムスコアが発表した今年(2010年)2月における米国のスマートフォン市場(契約者ベース)の調査では、マイクロソフトのOSを搭載する端末のシェアは昨年11月の19.1%から15.1%と大きく落ち込んでいる。
「アンドロイド2.1」を搭載したソフトバンクのスマートフォン〔AFPBB News〕
一方でグーグルのアンドロイドOSは3.8%から9.0%と急速に伸びている。アップルのアイフォーンは25.5%から25.4%と若干下がったが、ほぼ横ばいで推移しているという状況だ。
依然ウィンドウズ・フォーンと並行して別のOSの携帯電話を手がける意味が見えづらいのだが、ポール・スロット氏は、「マイクロソフトがデインジャー端末の次世代機を投入するのであれば納得がいく」とも述べている。ただ同氏は、その理由について詳しく書いていない。
そこでマイクロソフトがデインジャーを買収した当時のメディア記事を探してみたら、次のようなことが書かれていた。
「マイクロソフトは既存のウィンドウズベースのOSで、既に企業ユーザーをつかんでいる。デインジャーを買収したことで、今後は消費者向けモバイルサービスを拡充し、アイフォーンやアンドロイドに対抗する」
これでようやく謎が氷解した。同社は若者に人気のある端末を投入して、不振な消費者部門をテコ入れしたいと考えているようだ。
なお、このデインジャーという企業について調べてみたら面白いことが分かった。デインジャーの共同設立者にアンディー・ルビン氏という人物がいるが、同氏はデインジャーを辞めた後、アンドロイドという会社を設立している。
この会社は2005年にグーグルが買収し、グーグルはこのルビン氏主導の下、アンドロイドOSを開発した。ルビン氏は現在グーグルで同OSの開発を監督する立場に就いている。さらに同氏はアップルでエンジニアとして働いていた経歴も持つ。後にマイクロソフトが買収したウェブTVという会社にも籍を置いていた。

